事故で負ったケガのうち、症状固定後に残った症状は、等級認定を受けることにより、後遺障害として、傷害部分とは別に、損害賠償の対象となります。(下図2参照)
では、「症状固定」とは何でしょうか?症状固定は、医学面と、損害賠償面の二側面から説明することができます。
医学的な意味の「症状固定」
治療を続けても大幅な改善が見込めず、長いスパンでみると回復・憎悪がなくなった段階を、医学的な意味の「症状固定」と言います。むちうちの例でいえば、病院で投薬やリハビリを受けると少しよくなるけれど、少し経つとまた戻り、という一進一退を繰り返す状態のことです。
〔図1〕
損害賠償上の「症状固定」
医学的には大幅な改善が見込めないのであれば、いたずらにいつまでも治療費を加害者側に負担させるのではなく、治療期間は終了とし、残存した症状については「後遺障害」として損害賠償の対象とし、問題を早期に解決しましょうという、損害賠償上の都合によるしくみでもあります。
医師から症状固定の診断を受ける前は、実務上「傷害部分」と呼ばれています。「傷害部分」として、治療費や休業損害、入通院慰謝料などが請求できます。
〔図2〕
症状固定後は、等級認定を受ければ「後遺障害部分」として(上図参照)、逸失利益 や後遺障害慰謝料を請求できます。一方、「傷害部分」と同じように治療費や休業損害を請求することはできなくなります。つまり、症状固定とは、賠償上、「傷害部分」の終わりを意味しています。