岩手で被災したKくんと、ようやくゆっくり話ができました。
電話に出た時のKくんの第一声は、
「ご心配をおかけしてすみません。」
でした。
私はいろいろな思いが込み上げて来て、声が震えました。

Kくんは飛行機のチケットが取れて、一旦関西の実家に戻ったのですが、
「ここは何事もなく、別世界です。」
という言葉に、胸がつまりました。
そして、
「早く仕事がしたい。」
という言葉に安堵しました。

私も他の事務所の者も、
今抱えている仕事の話を一生懸命しました。
そうしたら、
「いいですね、面白そうですね、元気が出ました。」
・・・って。

私は、Kくんのその言葉で元気が出ました。


最近は、被害を報じる番組の中で、
「自粛自粛ではなく、普段の生活に戻れる人は戻りましょう。」
という発言を聞くようになりましたが、
私は、あんな悲惨な経験をしたKくんが、
気持ちを前向きに、とても明るい声で、
「仕事がしたい。」
と、嬉しそうに話をしているのを聞いていて、
今まで以上に頑張ろうという気持になりました。

楽しんだり、喜んだりすることに罪悪感を感じるのも、
そろそろ止めにしようと思います。

でも私は、普段の生活に戻っても、
今回改めて思い知らされた、
今まで気づけずにいた“当たり前の幸せ”の尊さを、
今後一生忘れません。