“ドン”が帰って行った後が大変だったらしい。
 人がいるとしゃべくり散らすタイプなので、校長をはじめ教頭、教務主任等々の先生たちに、イタリア行きの詳細がバレてしまった。どんな処分が下されるんだろうと戦々恐々としていた叔母たち…。結果はおとがめなし。校長がシャレの分かる人だったこともあるけど、結局はイタリアに旅行に行ったみたいなものだしね。ただし、一つだけ条件をつけられた。
『1年以内にクラブを全国レベルのものにすること』
 実は小学校同士といっても微妙なライバル関係があるらしく、全国大会レベルのものを持っていると、出世に関してそれなりに優遇されるらしい。叔母たちは出世欲を持てるようなポジションではまだなかったのでピンとこなかったけど、いくらか年かさのいった先生たちはそうでもなかったんだろうね。そして、叔母たちはやってのけた。全国で3位入賞。それ以来、その小学校はいまだに『音楽が盛んな学校』として有名らしいから、物事のきっかけというのはおもしろいよね。
 そして今日の写真だけど、この女性はそのクラブの出身で来月にデビューするらしい。もちろん、イタリアではなく日本でね。叔母たちは、その小学校を離れた今も時々クラブに顔を出してお菓子の差し入れなんかをしているらしいけど、彼女はクラブでは抜群に目立っていた存在とのこと。あらゆる楽器をマスターして、小学2年生の時にはオリジナル曲を作ったというんだから。病人のような(失礼)メイクをしているけど、小学生の時はいつも三つ編みをしていてほっぺた真っ赤っかの女の子だったとも言っていたな。デビュー曲を聴かせてもらったけど、とても不思議な曲だった。落ち葉かカサカサ鳴っているような…そんな曲。さらに、もう一つだけ秘密の話を…。叔母たち3人は彼女のレコーディングに参加しているんだよ。『鉄琴』でね(笑)。彼女からオファーを受けた時は驚いたらしいけど、二つ返事でOKしたとのこと。もちろん、学校には内緒で参加したみたい。結成20年を過ぎてのデビューなのかな、一応。
 彼女のデビューCDの片隅に小さく記される予定の言葉も教えてもらった。

 Special Thanks JHO