5月20日に偶然見かけたNHKにその答えの一端があった(特集の途中から見たのですが)。南水北調や水不足、黄砂などで検索したら2005年頃にはすでに一部で新聞記事になっていたようだが、砂漠化ではなく水不足がメインの記事だったので先にそちらから紹介する。(引用の引用になってしまいますが)

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deneb.jp MainBlog 2005年6月12日 より

国土の46%が乾燥・砂漠化、中国は依然深刻な状況


 【北京14日共同】中国国家林業局は14日、中国の砂漠化した土地と乾燥による荒廃地が、2004年末時点で国土の約46%に当たる437万5900平方キロに達したとの第3次全国砂漠化観測結果を発表した。

 中国政府は、砂漠や乾燥地は減少傾向にあると指摘、植林や監視体制強化の成果を強調しているが、国土の半分近くが依然として深刻な乾燥化、砂漠化に見舞われていることが明らかになった。

 発表によると、地表が砂や石に覆われ砂漠化した土地は国土の約18%で173万9700平方キロ。全部または一部が乾燥した荒廃地は国土の約27%で263万6200平方キロだった。

 記者会見した祝列克局長は、植林などにより、乾燥地と砂漠地の合計は前回観測した1999年より4万平方キロ減少したと強調。さらに黄砂の発生が2001年の13回から、03年は2回、昨年は6回に減少していると述べた。

 同局長は一方、全国で32万平方キロの土地が砂漠化の危機にひんしており、植林した地区も慢性的な水不足が解消されていないことなどから、再び砂漠に逆戻りする危険性があると指摘した。

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深刻、水不足 北京の水、汚染の危機
「南水北調」巨額水利プロジェクトは失敗? 【北京=福島香織】中国の発展に影を落とす水不足問題を解決する切り札と期待されていた国家水利プロジェクト「南水北調」(長江の水を運河で華北に運ぶ)が「汚水北調」(汚水を華北に運ぶ)となる-。そんな懸念が今、表面化しはじめている。巨額の資金を投じ遠路運ばれた汚水は二〇一〇年には北京市で使用されはじめるが、汚水を高い費用で買わされる、との不安も市民の間に浮上、専門家の間では失敗説も流れている。  二十二日の国営通信新華社電(電子版)によれば、南水北調プロジェクトの中央ルートの運河が水源地としている漢江(長江上流、陝西省、湖北省)が重大汚染地域であるという。流域には抗炎症剤や避妊薬などの原料に使われるサポニン製造工場が二百以上密集、それらがステロイドホルモンなどを大量に含む未処理排水を年間計六百万トン垂れ流しているという。 現場を訪れた記者は「白い泡が堆積(たいせき)すると河水は黒くなり、においを発する。あたりは刺激臭に満ちていた」とし、地下水も地表水も汚染されていると報告。これ以外にも、南水北調の水源は生活汚水、化学工場排水、生活ゴミ、寄生虫による深刻な汚染が報告されている。 この汚水は二〇一〇年には運河で首都北京に運ばれ、北京の水不足を補うため生活用水として使用されることが決まっている。今年、北京は水不足の影響で生活用水が一トン五元(一元は約十三円)に値上げされるが、南水北調の水は工事費が反映され一トン八元以上になると試算されている。 つまり、このままでは運河が通る周辺地域や北京の水源に汚染が拡大される上、北京市は高い汚水の買い取りを迫られる、という最悪のシナリオが予想される。新華社は漢江の工場排水処理を訴えているが、たまりたまった河川の汚染は短時間では解決できるはずもなく、内部ではかなり深刻な問題となっているもようだ。 水利省筋によれば「同省内部では華北の各都市がそれぞれ生活汚水や海水を再利用すれば、南水北調よりよっぽど低いコストで水不足は解消できる上、環境破壊や水質汚染拡大もない、との結論がでている」という。大まかな試算では、南水北調の水よりリサイクル水の方が一トンあたり三元は安い。 この試算は、国家プロジェクト批判につながるため今のところ公開が控えられているが、「南水北調は失敗だった」との声が専門家らの間で広がっている。北京郊外のある市民は「このあたりの地下水はそのまま飲める。なのにそれが汚染され水代まで高くなってはたまらない」と不満を募らせる。 河川の汚染の調査、研究なども行っている清華大学水利政策研究センターの常杪博士は「プロジェクトはもう始まっており、今は汚水が運ばれる過程で、汚染の拡大をどう防ぐかを考えなければ」と話すが、「利権につられて大規模工事ばかりに走ってきた水利政策はそろそろ見直されるべきだ」とも指摘する。 中国では農村部を中心に少なくとも三億人が飲料水に困り、全国の三分の二にあたる四百都市が慢性的な水不足に悩む。水問題が今後も中国の最大のネックであり続けることは間違いなく、中国の水利政策は発想の転換に迫られているといえそうだ。     
◇ 南水北調 比較的水資源が豊富な長江(揚子江)から水不足が深刻な北部へ、東ルート、中央ルート、西ルートの3本の運河で水を運ぶ壮大な国家プロジェクト。1950年代から構想が練られ、総工費1300億-1500億元と推定されている。着工済みの東、中央ルートはそれぞれ2007年、2010年に開通する予定。全体の完成は今世紀半ばとみられ、最終的には黄河の水量に匹敵する年間448億立方メートルの水を運ぶという。引用元:産経新聞/Yahoo

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http://www.apec-vc.or.jp/apec_j/net/yamamoto/page01_1.htm
中国の砂漠の拡大速度は1年間に2460平方キロ、全中国で1秒間に直しますと78平方mずつ砂漠が拡大しているのです。ですからこの会場は、おそらく10~20秒ぐらいで砂漠になってしまうというスピードで、今、砂漠が拡大しています。1998年までに砂漠化した土地の面積は262万平方キロ、日本の面積の6倍が砂漠になっているわけです。今、1年間に3.4kmずつ砂漠が北京に接近しているそうです。1日に直すと10mずつじりじりと北京に向かっているわけで、このスピードのままですと、あと30年くらいで北京が砂漠化する。北京では今、1年間に2mぐらいずつ地下水の水面が低下しているということで、これは大量の水使用と砂漠の接近によるもので、それに伴って砂嵐の発生回数が増えています。50年前は年間5回、現在は1年回に23回砂嵐が発生しています。これが中国の状況です。

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(以上引用終わり)

2005年の時点で上記のような状況。それで2007年NHKの記者の報告では、
●上記引用中段に書いてある「南水北調」の工事現場
北京郊外の(北京の水瓶と呼ばれている)ダムに行って、貯水量の減少のリポート
北京の水道料使用量が経済発展で急激に増えたこと
水道料金は1980年代まで無料だったこと、それが水の無駄使いの一因かもしれないこと
●北京郊外の農村では北京へ優先的に水を送る為、農業用水を減らした分補償金が出ていること
●上記が原因で以前は田んぼで米を作っていたが、現在は水が少なくても畑作ができるトウモロコシを作っていること(年収は減少している)
●また生活用水も週に2・3日に1度に制限されている為、生活用水にも困っている
●なかには田畑にこっそり井戸を掘り足しにしていたが、その井戸も枯れ果てた(井戸だった穴はあっちこっちに点在)
ということを紹介した後に中国の水不足を調査する張峻峰(45)を紹介して同行取材のVTR。以下その部分の書き起こしです。

ナレーション(以下ナ):中国の水不足を調査する張峻峰(45)さん。4年前までは政府に勤めていましたが、今では仕事を辞めて調査に専念しています。毎週車で北京郊外を見て周り、ダムの水位や水質の変化を記録しています。
水不足で手入れを諦めた為田畑が荒れ果てて砂漠化し始めたとこがあると張さんは指摘しています。
張峻峰さん(以下張):非常に危険な状態だと思います。北京の中心部から10キロしか離れていないというのに砂漠化が進んでるんです。
:水不足に拍車をかけているのが、水の汚染です。使える水の絶対量が減ってしまっているのです。張さんは北京から70キロ離れた採石場の奥にある貯水池を視察に訪れました。川の手前は澄んだ水、しかし奥の方の水は色が変わってしまっています。採石場から出る排水が原因だと張さんはみています。
張さんはこれまでにおよそ1万枚にのぼる写真を撮影し、各地の水の状態を克明に記録してきました。この4年間だけでも水不足が急速に進んでいる多くのデータを得られたと言います。
中国は経済の発展ばかりに目を奪われて、水不足への十分な対応を怠ってきた。張さんは独自の調査報告を取りまとめ、こうした主張を訴えていきたいと考えています。
:今の学者や指導者たちは、環境問題の深刻さを認識できていません。彼らに危機感がないことが心配でなりません。
スタジオの女性アナウンサー(以下ア):佐藤さん(中国で取材した記者の名前)中国では経済発展に伴って、都市部と農村部の格差、大きな問題になっています・・・(録画が途切れた為不明)・・・格差が深刻なようですね。
佐藤文隆(以下佐藤):そのとおりですね。リポートで取材しました、地面に大きな穴ができた村の幹部は「南水北調ができたら、北京より先に自分たちの村に水を流して欲しい」と強く訴えていました。この村がある河北省をはじめ、中国の北部や内陸部では砂漠化が一段と進んでいます。農業用水が制限されている為、農業生産は落ち込み中国でももっとも貧しい地域のひとつになっています。北京市では減産に対する農家への補償金を支払ってでも、北京への優先的な給水を続けています。首都の経済成長を支える為に、周辺地域が大きな犠牲を強いられています。
:この南水北調計画は中国のこの水不足の問題を解決することが出来るんでしょうか?
佐藤:はい。この計画は中国建国直後の1950年代、当時の毛沢東主席によって提唱されたと言われます。中国にとっては世紀を越えた大事業で、成功すれば北部の水不足は解消に向かうという期待があります。しかし、実は水源となっている長江の汚染が進んでいることが明らかになっています。政府は全人代でも2年連続で汚染対策の重要性を訴えるなど、北に送る元の水が汚れているのでは元も子もないという危機感をあらわにしています。南水北調は経済成長の持続に水が欠かせない中国北部の発展の命脈を握っており、胡錦濤政権にとっては安定成長を維持することで、共産党による支配を固めていきたいという狙いもあるとみられます。南水北調が中国の水不足をどこまで緩和できるかは、この汚染防止に加えて、節水や緑化なども含めた総合的な対策をどこまで実行できるかにかかっています。
:佐藤記者でした。万里の長城を思わせる南水北調。経済成長を持続させたい国家の意思と、拡大する格差を抱える中国の現実の両方が映しだされています。
(以上引用終わり)

 なんだ!よく黄砂などのニュースで砂漠が北京近郊まで近付いてきているって言ってるが、北京に優先的に水を送る為に水不足になった農村で農地が荒れたり、放棄されたのが砂漠化してるのが、急激な砂漠化の一因じゃないか!そりゃ1日に10メートルも砂漠化するって!で、収入の減った農家の主人やその子息は北京など都市部に出稼ぎに行ってまた水の消費が増えると・・・堂々巡りで悪循環になってきてるような・・・。
 ゴビ砂漠だけが原因ではなく、ゴビ砂漠の砂に荒れた・放棄されて砂漠化した農地も黄砂を酷くさせているんじゃない!?しかも、どう見ても人災だし。
 NHKにしてはまともなリポート送ってきたな。ただナレーションしてた佐藤記者、ナレーションの声枯れていたんだよな・・・北京オリンピック、見に行くの健康面に不安がある人は考えた方がいいかも。(その前に中国でまともな食事が摂れる保障もないけど)
 あと張さん、部屋や服装は質素だったが車(トヨタのランクル?っぽい四駆)やカメラ(キャノン)、パソコン(メーカー不明、自作?)を持てるほど政府で勤務していた時は収入あったってことか・・・。今何で生計たててるんだ?