目が覚めたとき、彼を抱き締めた感触が腕の中に残っていた。

夢なのに、こんなにリアルだなんて。

夢の中で彼が寂しそうにしていて、大丈夫よって言いながら抱き締めた。

ふわっと優しい、忘れたくない感触だった。

私達は寂しさを共有した仲だった。

でも、私が1歩踏み出すことが出来ずに手を離した。

いっしょにしんでもいいといってくれたら、いっしょにいきられたかもしれない。

でも彼は、そこまでではなかったんだよね。

すごくすきだった。

彼は努力家で勇気もあって息抜きも上手だった。

ただ、寂しい人だった。

もう寂しくないといいな。

誰か抱き締めてくれる人がいるといいな。

私はもう彼には会いたくない。

あの頃みたいに、か細い体になれたとしても。

いっしょにいきられないなら、会わない方がいい。

夢で会えただけで、感触を感じられただけで、とてもとても幸せでした。