日本航空(JAL)での活躍期間はわずか9年。

しかしライバルのボーイング707やダグラスDC-8と比較して高速性能を売りにしたコンヴェアCV880は、唯一無二の存在として日本の航空史に確実に名を残しました。

 

一方プラモデルでは、発展型のCV990はRevellから発売されていたものの(近年アトランティスモデルから再販されました)、CV880はF-rsinの簡易インジェクションキットがあるくらいでした。

 

そんな中、飛ぶ鳥を落とす勢いで旅客機プラモデルをリリースしていたEastern Expressから1/144スケールでCV880も発売、JALデカール入り仕様も発売されました。

 

今回はそのJAL版CV880を製作していきます。

 

 

早速ですが仮組み。持った感じバランス悪そうだなと思いましたが、

 

 

やはり重りを入れておかないと尻もちをつきます。何も考えず大量に重りを入れておけばこんな確認をする必要はないかもしれませんが、ギアもディテール重視で華奢な作りだったりで強度的に不安な面もあるため、重くなり過ぎないよう適切なバランスを見極めています。

 

 

このキットはコクピットも再現されていますので、組立・塗装後に胴体を貼り合わせます。パーツの合いは決して良いとは言えませんが、かといってそこまで酷いものでもないので今回はそこまで苦労しませんでした。

 

 

クリアパーツはミニクラフト方式(と勝手に呼んでいる)のおでこ一体型。ただし胴体側のパーツと寸法が合いません。ご覧の通りモールドは綺麗なのですが、組み易さという点ではRevellやZvezdaと比べてまだまだといったところでしょうか。

 

 

さて翼の方に目を移すと何か違和感...

エンジンパイロンを刺す穴が1穴ありません。パイロン側のダボを1つ切り落としても良いのですが、

 

 

ダボにマジックを塗り翼側に当て穴位置をマーキング、

 

 

ピンバイスを使って穴を明けておきました。

 

 

ちゃんとはまりました。後工程での組み易さを考え、打てる手は打っておこうということです。

 

 

主翼を取りけて当時作っていたDC-8とともに。同じスケールでそろえるとその飛行機ごとのサイズ感がわかって面白いですね。クリアパーツとの段差は胴体側にパテを盛って整える戦法を取りました。

 

 

主翼の取り付け方式は(デッドコピーと思われる初期の737等は除き)イースタンではおなじみの中央翼一体側です。そしてこれまたおなじみの胴体の間に大きな隙間ができるので、プラ板(というより0.1mmなのでプラペーパー)を詰め込みます。

 

 

接着剤を流し込んで乾燥したらデザインナイフでカットします。これだけのプラペーパーが入るということは、それだけ隙間が空いていたということです...

 

 

もちろんこれだけでは綺麗にはならないので、あとはポリパテで埋めていきます。

 

 

こちらはエンジンパーツ。パイロンは左右接着済みですが、最近のキットとしてはまだシンプルなパーツ構成です。ファンがインテークの結構奥まったところにあり、インテーク自体も細いので組んでからの塗装は難しいだろうと判断、接着前に塗装しておきました。

 

 

機体の裏側はこんな感じ。パテが盛ってあるところがパーツの合わせ目になります。モールドお構いなしの分割ラインなので処理せざるを得ず、結構面倒な作業です。胴体裏側にある穴とパテはICMから発売されているスタンドを使おうと試行錯誤していた名残です。

 

 

こちらがそのスタンド。飛行姿勢で作ると割り切ってしまえば問題ないと思いますが、今回のように機首に重りを入れた状態で使用すると前に倒れたりするのでなかなか難しいです。

ハセガワの付属スタンドのように差し込み口のパーツが付いているわけでもなく、単に胴体に穴を明けてはめ込むだけの構造。正直使い勝手が良いとは言えず、今回は結局使わず仕舞いでした。

 

 

合わせ目が消えていなかったり、気泡が残った箇所などにパテ埋め。

 

実はこのあたりで他のキットを作りたくなったり、展示会向けの機体(1/200)を作ったりで実に1年以上放置することになってしまいました...

 

 

次の展示会は1/144もOKになったので再開。

エンジンが組立途中だったので形にしました。エンジンリップのパーツの合いがよろしくありませんが、まぁこんなものでしょう...

 

 

胴体の方は整形が済んだらコクピットウインドウを#10000まで磨いて透明度を回復。コクピットパーツとも久しぶりのご対面です。一応付属デカールにはコクピットウィンドウも含まれていますが、機首の造形も良いのでやはり透明化を目指したいところです。

 

 

角部が丸くなっている箇所は市販の円形マスキングシールを使用しました。

 

 

あとは窓枠のモールドに合わせてマスキングします。凹モールドは磨いた後に線が残ってくれるのでマスキングが非常にラクです。

 

 

いよいよ塗装工程へ。主翼付け根をマスキングしているのは飛散した白塗料で主翼上のモールドが埋まってしまう事態を避けるためです。面がざらざらになったらペーパーを当てればいいだけですが、流石にモールドを彫りなおすのは面倒なので...

 

 

チートラインと尾翼のストライプは塗装で再現することにしました。細切りのテープをフリーハンドでまっすぐ貼るのはなかなか至難の業。素直にトースカンで罫書いてから貼った方が速いのですが、それでもいつも機体とにらめっこしながら貼ってます。

 

 

赤から塗るか紺から塗るか問題ですが、どのみち重ね塗りだと上手く発色しないと思ったので、とりあえず紺色から塗ることにしました。フタに色合い的には328番あたりかなと思いましたが、あえて明るめの322番を選択。

 

 

塗った時はやっぱり明るすぎたなぁという印象で、上から328番を重ね塗りすることも考えましたが、乾燥後濃くなることを予想してそのままにしました。

 

 

赤を塗る箇所もあらかじめマスキングしておいたので、一度その部分を剥がして白を露出させ、紺色として残る部分をマスキングします。また、チートラインには白線も含まれるのでその部分は紺を塗る前にマスキングしておきました。尾翼の日の丸も塗装で再現しますが、ここは円形マスキングシールを使用するので案外簡単だったりします。

 

 

下地として最初の白を残しておいたことで赤も問題なく発色しました。色はクレオスのシャインレッドを使っています。間に白サフorベースホワイトを挟むと塗り分け部の段差が大きくなるので、手間が増えてもこの手法が有効かと思います。

 

 

剥がせるところは剥がして一度状態を確認。レドーム付近は細切りのテープで無理やりマスキングしたので案の定マスク漏れがありました。結構気を遣いながら塗ったので他の部分のマスク漏れはまだマシでした。

 

 

グレーまで塗装したらシルバー塗装に向けて下地作り。

 

 

しかし今回初めて使用したクレオスのスーパージュラルミン2、思ってたよりも隠ぺい力が強く、下地色として黒で塗っておいたところもあまり違いがわからなくなってしまいました...

 

 

だったらもう塗り分けてしまおう、ということでマスキングの嵐に。8番シルバーやスーパーアイアンなどを塗り分けていきます。

 

 

エンジンの方も複数のシルバーで塗り分けます。ここも当時の鮮明なカラー写真が少ないので塗り分けと色合いは雰囲気ですが、基本的にモールドを塗り分けラインにしています。

 

 

主翼の方もシルバーを塗り分けたら、

 

 

マスキング剥がし!

複雑な塗り分けにすればするほど、マスキングを剥がしていく時の快感が増します。ただしこちらも例によって資料が少ないので、モールドを基準に適当に塗り分けています。

 

 

ようやく塗装が完了。紺の明るさもこう見ると特に問題ないように思います。

ただ一部マスキングが浮いたところから塗料が吹き込んでいましたが、

 

 

ここはサンディングしてリカバリー。間違っても削りすぎて白の塗膜を貫通させることがないよう、なるべく高番手のペーパーを使用して慎重に削ります。削ったところは光沢が失われますが、あとでクリアーを吹くのでここでは気にしないでおきます。

 

 

エンジンはこんな感じで仕上がりました。確か6色くらい使ったと思います。

 

 

さていよいよデカールに入ります。キット付属の窓・ドアデカールはチートラインと一体となっているので、ラインを塗装した時点でこれらのデカールが必要になります。どうせ自作するならということで、今回はドア枠が紺色となっている後期仕様(おそらく)を再現することにします。

個人的には今回初めてスタンピングリーフに挑戦しました。初回にしては案外上手くいったので、引き続きいろんな塗装にチャレンジしていこうと思います。

 

 

スタンピングリーフ白の隠ぺい力は定評があるのですが、流石にコントラストが強い部分は隠し切れませんでした。

 

 

ディテール系のデカールは一切ありませんが、十分雰囲気は出るので良しとします。ちなみにこのキットは JA8023"KAEDE" と JA8025"AYAME" の2種類から選択できます。前者は事故により全損しており縁起があまりよろしくないので後者を選択しました。

 

デカールを貼り終えたらいつも通りクリアー塗装&研ぎ出しします。

 

 

747SPでは痛い目にあったランディングギアの組立ですが、CV880では比較的シンプルで(イースタンにしては)組み易かったです。ただし強度的に不安を感じたため、流し込み接着剤で固定後、ハイグレード模型用セメダインを上から塗布しておきました。

効果があるかは分かりませんが...

 

アンテナは上下1つずつなので組付けもすぐ終わり完成!

 

 

CV880が現役で飛んでいた時代は知らない世代ですが、こうして自分の手で作り上げた機体を自然光で撮影していると、「今のカメラ機材を持って当時にタイムスリップして撮影したい」という夢をほんの少しだけ味わえる、そんな気がします。

 

逆に言えば、そんな気分を味わうためになるべく綺麗に丁寧に作ろう、という製作のモチベーションにも繋がりますし、このような画角で実機を撮った時には小さすぎてわからないようなディテールはもう省略してもいいや、という気にもなります(^^;)

 

 

さて、今回製作したイースタンエクスプレスのCV880は他ブランドからリリースされてはいませんが、今後AMP、CRM、Karaya、X-scaleといったメーカーから再販される可能性はあると思います。この後に及んで日本のメーカーから1/200新金型で発売されることはまずあり得ないと思いますので、いろんな機種を揃えたい方は是非1/144旅客機プラモの沼に一緒にはまって頂ければと思います。