「ねえ、とーちゃん。なんか、熊の出没が大変なことになってるらしいね。」
「そうらしいな。怖くてキャンプなんて行ってらんねーなー。」
「でもって、動物愛護者が、熊の駆除に抗議してるんだって。」
「なーにー?あいつら抗議なんかしやがりやがってるのかよ。恐らく奴ら、童謡の『森のくまさん』の歌詞がノンフィクションだと思ってるにちげーねー。」
「え、あの『♪くまさんの、♪いうことにゃ、♪お嬢さん、♪お逃げなさい♪』ってとこですか?」
「そうよ!こうなったら、『熊さんがかわいそー』とか言ってる呑気な奴らをまとめて山の中に連れてって、熊は『♪お嬢さん、お逃げなさい♪』なんて言わないことを教えてやらねえとなんねえな!」
「なるほど、体験ツアーだね。熊さんの出没で観光客が減った地域にとっては、一石二鳥だね。」
「それからよ、実は『森のくまさん』の歌詞には、熊の恐ろしい習性が隠されいるの知ってるか?」
「え、何ですか?」
「『♪お嬢さん、お逃げなさい♪』のあと、『♪ところが、♪くまさんが、♪あとから、♪ついてくる♪』ってなってるだろ。」
「うん。」
「熊はよ、逃げる奴を追いかける習性があるが、逃げないと追いかけないらしいんだな。だから、あの森のくまさんは、自分が追いかけたいがために、『♪お逃げなさい♪』なんて優しい言葉をかけた実は腹黒い詐欺師ヤローってわけよ。」
「なるほど、深い意味があるんだね。」
「つまり、あれは、詐欺師の甘い言葉に騙されるなよ!っていう教訓が隠されてるってわけだ。」
「それ、早く動物愛護の連中にに教えてあげないとね。」