乳がん | AOI TAKEUCHI Official Blog

AOI TAKEUCHI Official Blog

作家・音楽プロデューサーの竹内葵です。著書に「ふしぎ工房症候群」「続・ふしぎ工房症候群」「クリスタルチェリー愛する君へ」「電脳戦隊ヴギィズ☆エンジェル」があります。現在、櫻井智デビュー25周年記念アルバム&DVD「ありがとう」をプロデュース中!!

妻の日記です。
少しでも多くの人に知ってもらいたい「現実」がここにあります。
乳がんは自分で発見できる唯一のがんです。
検診に行ってください。
その検診でさえも万全ではないという、怖い事実があります。
少しでも不安を感じたら、病院を変えて再検査して下さい。
もしもがんと診断されたなら…
「一刻も早く」、そして「納得のいく治療」を受けて下さい。
「あなた」とあなたの「家族」のために。

竹内葵



Date: 2011年11月02日 11:01

右胸のしこりは、がんでした。


5月上旬にしこりを発見しながらも、がん、と医療機関に認めてもらえたのは9月末。
けれどこのタイムラグは、手術日が決まったので、と病院からの連絡を受けて入院した一昨日以降、周りの患者さんの話を伺うと、早い方なんだろうな、と思う。

中には、しこりを自覚していながら6年間も、「がんではない」と主治医に言われ続けた末、別の非常勤医に診てもらったらすぐに転院、手術となったものの、部分切除(がんの腫瘤部分+αを摘出する手術)がもはや出来ず、全摘(病巣のある乳房の、乳頭、乳管、乳腺全てを切除する手術)になった方もいらっしゃった。

その方は、入院するまでは「主人も大腸がんで亡くしているのに、どうして自分だけ」と落ち込まれたらしい。
けれど入院して、同じ病気を抱えた人が大勢いたことに、とても励まされたと仰っていた。

勿論、皆、この病棟で初対面な人ばかりなわけで、話し好きで積極的にご自分のことを話される(そしてこちらの事情もちゃっかり訊かれる)おばさまもいれば、挨拶ぐらいしかされない方もいる。同じ乳がんという病気でも、各々に、ここへ至るまでの経緯と事情、そして病期(病気の進行度合)は違う。

だがしかし……入院して少し驚いた。
多分、入院患者の中では私がほぼ一番、若い。
ってことは概ね、私が一番、病期が早い(つまり、がんが進行していない)。

年を重ねて、病期も進んで、となると、それだけ切除範囲が広くなったり、補助療法(薬物療法や放射線療法)を組み合わせなきゃならなかったり、他臓器へ転移していたり、体そのものだって代謝だの快復力だの衰えていたりするわけで、お話を聞いていると、背中がうっすら寒くなってくる。

今こうやって挨拶したり、一緒に窓の外を眺めたりお話ししたりしているけど、
3年後、5年後、この病棟の患者さんで、命があるのは何人だろう……と、思ったりする。


ここから先は私の話。

がん、と診断してくださったのは地域病院の外科医師だが、乳腺外科の専門医でもあった。
ここで初めて、外科医と乳腺外科医の違いを、身をもって知った。

5月に(視触診とマンモ撮影した)クリニックの外科医から
「何もない。何も写っていない。エコー検査は必要ない」と頭ごなしに宣言され、
8月に(視触診とマンモ撮影とエコー検査した)地域病院の外科医から
「良性の石灰化だからとりあえず問題ありません」と朗らかに明言され、

じゃあもういいよと投げ出しかけたところを、婚約者(今の旦那)に電話で懇願されて、同じ病院の乳腺外科医に診てもらい、針生検した結果が
「残念ながら、がんです」だ。

早期発見のためと謳われているマンモグラフィは万能ではない。
また、マンモやエコーの画像を正確に読み取れる医師の数にも、限りがある。
本人が約1センチのグリグリを自覚しているのに、視触診して「何もない」と言い放つ外科医だって存在している。

だからって乳腺外科医なら安心なのかと言えば当然そんなわけはないのだが、やっぱり餅は餅屋で乳は乳腺外科(または乳腺科)である、と。

もし放っておいて、1年後に検査してがんだと言われたら、その時は今の病期では済まなかった。
乳がんの細胞が1センチの腫瘤に増殖するには、ざっくり言って10年ぐらいかかる(らしい)が、それが2センチの大きさに育つには、そこから1年しか要らない。
早期乳がんと中期乳がんの大きな境界線がこの、「腫瘍の大きさが2センチ」にある。

私の右胸も命も、私自身ではなく、旦那が救った。
5月の私は生きることに疲弊していて、もしこのしこりががんでも治療はしない、と考えていたから。

でも本当はたぶん、私が自分で救わなければいけなかった。
病棟に入って、周りの患者さんや面会のご家族や、通ってきてくれる旦那を見ながら、そう思った。


閑話休題。
9月末にがんと診断されたものの、その地域病院ではこれ以上の検査や治療は出来ないということで、大きな病院を紹介してもらうことになった。

10月は新婚真っ只中にもかかわらず、紹介状と組織診のプレパラートと画像のCD-Rの3点セットを持ちこんでの外来診療から始まり、検査、検査、結果説明とまた検査、そして手術の順番待ちで吹っ飛んでいって、

一昨日の朝入院して、
今日の昼過ぎから手術する。
右乳房の部分切除と、センチネルリンパ節生検というのをやる予定だ。
これ、現在における一般的な乳がん治療では一番小さい手術。

術前の検査では、病期はⅠとの所見。
これは、しこりの大きさが2cmより小さく、腋の下のリンパ節や他の臓器への転移がないとみられる、いわゆる初期がん段階とのこと。
しかし実際には手術で切ってみて、更に、がんの組織とセンチネルリンパ節(腋の下にある、病巣に一番近いリンパ節)を丸ごと検査して初めて判ることなので、それら如何では手術の内容も、今後の治療計画も変わる。


退院は
手術の内容が予定通りで、術後の経過が良好ならば、明後日出来る予定です。
また、報告しようかと思います。


***追記***
自分が知らない間に抱え、育てていた病気について、勉強になったサイトを二つほど。

***追記2***
11月7日、補記を兼ねて改稿しました。退院は予定通り4日に出来て、自宅療養しています。