僕が長澤まさみと結婚したい理由。


それは、



「幸せな結婚をしたいから」



である。



というのもタイトルにあったように

僕は小学校4年生の時に

ある修羅場を目撃したことがあるのだ。



ある日いつものように

学校が終わると週に一度くらい遊んでいた

M君の家に出掛けた。



M君の家には、

その当時発売されていた

全てのゲーム機があり、

ソフトもおもちゃ屋さん並みに揃っていたから

僕をはじめゲーム好きな友達が

自然と集まるような家だった。



かと言って、

お金持ちというわけではなかった。



雨漏りもするし、

家の木材も所々腐っていて

のちのちプレハブ小屋を増築するまで

玄関兼台所と10畳ほどの部屋があるのみで

申し訳ないのだが超貧乏であることは明らかだった。



M君のご両親は、

僕らが遊びに行く15:30くらいには

お酒を飲んでいる事が多かったし、

ご両親のお友達やご近所の方が

よく遊びに来られていたが

洋服はボロボロ、髪もグシャグシャで白髪、

まだ3〜40代だろうに

おじいちゃんやおばあちゃん並みに

年寄りに見える方々ばかりだった。



生活水準が低い家庭だったのだろう。



でも昼間から酒を飲んでいる大人たちと

同じ部屋でいつも遊んでいた

3〜4人の僕らに

とても優しくしてくれた。



子供に甘かったから

ゲーム機やソフトを買い与えていたのだろう。



今思えば、

多少のネグレクト状態であったかもしれない。



余談だが、僕は介護士をしているので

おもちゃをたくさん買い与えてはいるが育児放棄し、

DVやネグレクトから保護施設に保護される子供を

見たことがある。



調べてみると

ネグレクトの親の中には

そのような傾向がある親がたくさんいるのだという。



話を戻すが、

小学校4年生のある日、

M君の家で事件が起きた。



その日はM君と僕、

S君という友達と3人で遊んでいた。



M君の家に到着して中に入った。

(インターホンなんかないから「お邪魔しまーす」って言いながら勝手に入る)



するとたまーに見かけていた

おばちゃんが泣きながら酒を飲んでいた。



M君のお父さんは話を聞き、

お母さんは夕飯を作っていた。



話の内容はあまり記憶にないのだが、

かなり泥酔している様子のおばちゃんは

「もう無理、限界…」みたいな事を

叫んでいたことを鮮明に覚えている。



そんなカオスな状況の中、

僕らはその頃なかなか持っている友達がいなかった

PCエンジンでPC原人をやっていた。



懐かしい…w


楽しく遊んでいると

何やら玄関の外から怒鳴る声がした。


「おいコラ、開けろ!」


僕らはフリーズして玄関の方を振り返った。



いつもなら開けっ放しの玄関…


僕らが遊びに来た時は空いていた玄関…


だが振り返ると鍵がかかっていた。




「おい、開けろ!」


M君父「落ち着け、落ち着けって。」


おばさん「なにあんた!何しに来たのっっ!」


M君母「あんたも落ち着きなさいよ」


怒涛の如くこんなやりとりが繰り返され、

何もしないと約束するならという条件で

M君のお母さんが鍵を開けた。


すると開けた瞬間に

そのおじさんはおばさんに飛びかかり、

いきなり首を締めはじめたのだ。


「殺してやる!」

「殺してやる!」

「殺してやる!」


そう言いながら首を締めたが

M君のお父さんが羽交い締めにして

5秒ほどでひきはがした。


だがその力はすさまじいものだったのだろう。


おばさんはたった5秒で

意識を失いかけ、

呼吸困難のような感じになっていた。



僕は当然、

人が人を殺そうとする瞬間を初めて見たし、

人が呼吸困難になっているところも初めて見た。


その衝撃と言ったら相当だった。



でもそれだけでは終わらなかった。



羽交い締めにされたおじさんが

一旦落ち着いたフリをして

M君のお父さんの手を振り解いて包丁を持ち出し

割って入ったM君のお母さんの背後から

おばさんに包丁を投げつけた。


その包丁はおばさんの顔にあたった。


もうそこからは大人たちの方を見るのが怖くて

僕らはPC原人をやる事しか出来なかった。



平然を装いながらPC原人から

カトちゃんケンちゃんに変更して…



「普通に遊んでるだけなの

 でこちらはお気になさらずに」


という雰囲気を一生懸命出していた。


そうして遊んでいる中で

チラッとおばさんの顔を見ると

こめかみから少し血が出ていただけだった。


きっと包丁の刃の部分は

当たらなかったのだろう。


僕は内心ホッとした。


こうして1〜2時間、

しばらく怒鳴りあって喧嘩していたが

警察が来ておじさんは連れていかれた。


皆さんは殺気というものを

間近で感じたことはあるだろうか?



殺気というのは本当にあるのだ。


人が人を本気で殺そうとする時、

感じた事のない狂気と冷酷な空気が

一瞬でその空間にたちこめる。


30年近く記憶に残っているのだから

これこそが本当のトラウマなんだと思う。


幼少期にこんな事件に

遭遇したせいなのか

僕は幸せな結婚を夢見ている。


子供に親の喧嘩を

見せてはいけないという話があるが

そんな話の時にはいつもこの事件を思い出す。