その頃は、モスバーガーは、東京板橋区に店舗が1つあるだけだった。


ある日、中年男性が「こんなものはコーヒーじゃない。」と怒鳴っていた。すると店長が出て来て「お客様、これはアメリカンコーヒーでございます。」と言った。だが、男は「こんなものはコーヒーじゃない。」と繰り返した。


その後、店内にはアメリカンコーヒーの説明文が貼られた。またハンバーガーを注文すると、アメリカンコーヒーが無料でついてくるサービスもしばらく続いた。


モスバーガーは当初、豚肉を使っていた。まだ牛肉は輸入自由化されておらず、高価だった。一方、赤坂にあったハンダスというハンバーガーショップは牛肉を使用していた。だが、その代わり料金が高めだった。赤坂なら、それでも営業できたのだ。モスバーガーは板橋区という東京の外れだったから、そうはいかなかった。


豚肉なので、ソースには特別な工夫が必要となり、そのソースが評判になって、売れるようになった。そして、店舗も増加。怪我の巧妙というところだろうか?


その後、モスバーガーも牛肉を利用するようになり、ソースも、それに合わせて変えた。その結果、原型は留めているが、別の味になった。古い客達は、「こんなものはモスバーガーじゃない。」と言った。