自分を見失う子供達 2 ~子供のアイデンティティの危機~ | 心霊・人生哲学・心理 愛美の夢殿~SINCE 2002/4/17

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ぼちぼち、オカルトも哲学心理も、牛飼い話もアホも、ほりほりどぅえす

(子育て・教育に関する子供の心)


~アイデンティティとは?~


一貫した自分自身という゛自己統一性感覚゛のことを言います

「自分とは何か」という感覚のことです

これこそが自分である・この自分でよい・今後もこの自分でやっていける
自分は社会において意義のある存在だ
などという感覚です
これを培うのは、それまで育ってきた期間のアイデンティティ全部と、
自己イメージを統合したものです

この個人としての全体感、一貫性、かけがえのなさ、についての主観的体験
つまり、「自分に関する感覚」を明らかにしたのは、
一生涯にわたる自我の発達の研究をしたアメリカの精神分析哲学者・エリク・エリクソンです
アイデンティティは自我の発達のうちで一番重要です
その発達は、幼児期から始まります
そして身体的・精神的成熟や、社会的責任感が備わる思春期・青年期になってから
人は初めてそれまでの体験を統合して、アイデンティティを作り上げようとします

アイデンティティは
①自分が同じだという感覚・・・環境が変わったり、自分が成長したりしても変わることが無い、
紛れも無く独自で固有な自分であり、同じその人であると、他者も自分も認めること

 ②時間的な一貫性・・・以前の自分も、今の自分も、一貫して同じ自分であると思うこと
 ③社会への帰属性・・・ある社会集団に属し、その集団に一体感を持つとともに、
他の成員からもそう認められているということ
 
この三つから成ります

これらはアイデンティティの要素は
自分が社会の中で、ある役割をこなしているという「価値観」に支えられています
自分はそんざいする意味があるのだと考える自己像でもあります
これが確立して初めて、人は過去の記憶や、未来の希望を持つことが出来ます

思春期には、アイデンティティに対して、役割の拡散による葛藤が起きて、心理的危機に陥ります
思春期における役割が、自分以外の外部の力で決められているような社会の場合では、
民主的な民主的な社会よりも、アイデンティティ危機が目立たないですが、
民主的社会では、選択の自由度が大きくて、
本人にとってはプラスにもマイナスにもなる解決法を選べるものの
危機は急性の様相を呈します

アイデンティティは、自我を発達させるための基本的な要素のひとつですから
危機を解決しそこなうと、社会に適応しにくくなります
アイデンティティ危機と統合失調症(精神分裂病)の発症数との間には、比例関係が有り
いったん思春期危機を解決しても、あとに人生の劇的変化があると
危機が再燃しやすいということです



~アイデンティティの危機~

思春期の主なものとして、
アイデンティティの拡散(本当の自分がわからないという不確実感)による苦悩です
急に成長し、乳房や性器が発達し、性衝動が現われると、自分の身体イメージがあいまいになり
過去の経験との断絶が起きます
「以前の自分とは違う私とは。。。誰だろう」という新しい疑問が湧いてきて、自分がわからなくなります
アイデンティティの拡散が起きると、
アイデンティティの喪失、自意識過剰、時間的見通しを失う、
全てが一時的なものに見える、現実が自分にふさわしくないと思う、
決定困難、混乱、孤立、満足な関係をもてない
組織に屈するのを恐れる、何もしない、既存社会に呑みこまれるのを恐れる、
親しくなれない
役割をこなしてみようとはしない、仕事が出来ない、理想を持てない

などの症状が現れます

これらをうまく解決出来ないと、それまで自分の抱いていた人種・性役割、
社会経済的地位などについての考えを捨てたりします
つまり、価値、信仰、希望などについて決定すべき場合に、危機が現れます

これらを乗り越えるには、将来の職業などの個人的選択を通して、
悩みに直面し、闘わなければなりません






親御さんや周囲の方において、子供がアイデンティティの危機を避けて、
心が健康に発達するよう助けるいくつかの方法があります


①親や周囲の大人は、子供に期待しすぎてはいけません、高望みしてもいけません

②子供がしようと思ってもいないのにもかかわらず、
「○○してはいけない」とうるさく警告してはいけません
そして、力や権力による押さえ込みをしてはいけません

③子供の努力を誉めてやり、興味があることを続けるように励ましましょう

④困難にぶつかった時に励ましてあげましょう

⑤自分の力を試したり、発達させようとしている時には援助しましょう

⑥自分のとった行動の結果に直面するときに、責任をとることを教えてあげましょう

⑦大人の期待に応えようとして失敗した時には、軽蔑しないで、
子であっても人間として尊敬を示しましょう

⑧社会によく適応する行動をとるように導いてくれる人に応えようとしたら援助しましょう

⑨受け入れ可能な役割を試す機会を与えましょう

⑩彼らが育った文化や提供する力や選択、また彼ら自身についての知識を与えましょう

⑪プラスの生き方の見本・お手本とか、
負けまいと努力する小説の主人公などのモデルを提供しましょう