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あい♥のブログ

ポケモンとガルフレが大好きな大学生が、気ままに更新する、愛がいっぱいのブログです♥

WONDER 第一話は下のリンクからどうぞ!

「WONDER」--序。「始まりの快音

それでは、本編でーす!!

★★★★★

「麻由子!」
「・・なあに、おかあさん」
「これ、これを見て!」
朝、目覚めて自室を出てリビングルームに入って来た麻由子に、麻由子の母が頬を紅潮させて新聞を見せた。
『聖櫻の美少女?南陽の豪腕を打ち砕く』
「麻由子、これ、あなたのお友達のひかりちゃんでしょ?」
「うん・・わぁ、凄いね、これ」
地方紙の一面には、昨日の聖櫻対南陽戦の記事があり、ひかりをトップに扱っていた。
「美少女、はてな、になってるね(笑)」
麻由子はとても楽しそうに笑った。
「ねえ、この新聞社さん達は、ひかりちゃんのこと、良く知らないの?」
「さあ、それはよくわからないけど。でも」
麻由子はあの試合の後の事を思い出していた。
勝利に湧く聖櫻ナインの輪の中から、ひかりはいつの間にか消えていた。
ひかりに声を掛けようとしたけれど、ひかりは殺到するマスコミを避ける様に帰宅したとの事だった。
--なんで、もっと堂々と取材を受けなかったんだろう・・?
代わりに、新聞記者は聖櫻の応援席の生徒に取材をしていた。
その殆どが、ひかりについての質問である。
自分がひかりの親友であることがわかると、記者達は私の周りに集まって、色々と質問をしてきた。
その時の事を思い出す。
私はひかりを自慢したくて、ひかりの事を沢山話した。
でも、なんでだろう・・良く思い出せないけど、ひかりが女子である事は話さなかった。
「ま、いっかw」
麻由子はそう思い直し、新聞の一面記事を手に取って折り畳んだ。
「ねえ、おかあさん。この新聞、持って行っていいかな?」

高校に向かう最寄のバス停で、麻由子は大輔と合流した。
早速、さっきの新聞を大輔に見せた。
「ねえ、すごいね。これw」
「ああ、まったく」
大輔はすこし頬を膨らませ、新聞を広げて見ていた。
「あそこでトドメのホームランを打ったのは俺だぞ? その俺の記事がこれだけだ(笑)」
「大輔さん・・大輔さんは、すごくかっこよかったよ。私ね・・」
麻由子は語尾を弱め、大輔に聞き取れない様な小さな声で続けた。
「惚れ直しちゃった」
大輔はそんな麻由子を怪訝そうに見詰め、
「なに?なんだって?」と聞き返した。
「なんでもなーい!」
麻由子はそう言って、楽しそうに笑った。
「でも、やっぱり・・」
「やっぱり、なんだい?」
「ひかりって、可愛いだけじゃなくて、かっこいい。だから、こんな記事になるんだよ」
「まあ、それは俺も認めるよ」
それから大輔は天を仰ぐ様にして呟いた。
「まったく、ひかりには感謝してもしきれない位だ。だが」
「だが・・?」
「だが、本当の戦いはこれからだ。後3試合。俺達の目標は、あくまで甲子園なんだからな」
「そうだね!」
「ああ。ひかりには、ここで満足してもらっては困る。もちろん、俺達もだがな」
「うん!私、目いっぱい応援するね!」
「ああ、そっちは頼むよ」
その言葉が終らない内に、バス停にバスが止まった。
聖櫻学園の生徒の多くが利用するバスなので、もちろん、聖櫻の生徒も沢山乗っている。
大輔達がバスに乗ろうとすると、バスの中から黄色い声が響いてきた。
「あ、赤嶺先輩!」
「あ、ほんとだ。赤嶺先輩だぁ!」
「かっこいい!」
大輔はすこし怯み、麻由子を振り返った。
麻由子は苦笑しながら、大輔の背中を押してバスに乗り込んだ。
「大輔さん、人気者は辛いね(笑)」

バスから降りて聖櫻の校門をくぐり、すこし歩くと、人溜まりが出来ていた。
良く見ると、その輪の中にひかりが居た。とても困惑した顔をしている。
麻由子はさっとその人の輪に割って入り、ひかりの腕を掴まえる様にして、
「すみませーん、ごめんなさい、どいてくださーい」
と言いながら、ひかりを救出した。
「この子、耳がよく聞こえないんです。だから、聞きたい事があれば私に・・」
そう言いかけてから、思い直した様に、
「やっぱり、放課後にお願いしまーす。もう授業に間に合わなくなっちゃうので~!!」
そして、ひかりの耳元に口を寄せて、
「ひかり、走るよ!」と言った。
「うん!」ひかりは嬉しそうに答え、
「ありがとう、まゆ」と言った。
そして、ふたりで昇降口を目指して走りだした。
風がすうっと髪に流れる。
--なんか、気持ちいいな・・
麻由子はそう思いながら、ひかりの後を追って走った。
「ひかり~、速いよぉ~」

「WONDER」--13。「準々決勝」へ続く