作家仲間の、Kさんという方からお伺いした話です。
Kさんは台湾が好きで、自身も初めての海外渡航先が台湾だったということもあり、時間があるとよくLCCを使って弾丸旅行みたいなのを楽しんでいるそうです。
先月も、ようやく大きな仕事が終わり、ある程度の原稿料も入ったのでちょっとそこまでみたいな感覚で、台湾へ渡航して小籠包やマンゴーかき氷を堪能し、夜店に大きな書店など、首都台北を散策するような形で観光したり、茶芸館でおいしいお茶とドライフルーツを楽しんだりと、つかの間の休息を満喫したとのこと。
最後の夜、寺廟に行こうと地下鉄に乗り、台北の古刹である龍山寺に向かったとき。
地下鉄の出口、すぐ前に花売りのおばあさんがいて、「お供えの花はどうかね」と話しかけてきたそうです。
写真で見せてもらいましたが、赤いプラスチック皿に盛られた、白く小さい花でした。針金でつながっていて、丸く輪になっていたそうです。
まるで香水みたいなかおりがしたので、ひとついただこうとお勘定をし、お供えはせずにスマホの、ストラップをつけられるところに針金をひっかけてから龍山寺を参拝し、ホテルに戻ったそうです。
シャワーを浴び、明日の夜に出る飛行機の便名を調べたりしたあと、電気を消して眠ろうとベッドにもぐりこんだときでした。
見知らぬ女が横たわり、Kさんの頬に口づけをして、消えたそうです。
帰国して、何日か経ってからもずっと、頬からはチューベローズの香りがしたそうです。
花は朝になって、茶色く枯れてしまったのですぐ捨てたそうなのですが、帰国して、チューベローズの花言葉を調べて、Kさんは合点がいったそうです。
危険な快楽、それが、チューベローズの花言葉でした。
香りがよく、白く可憐な花なのでお供えにも使われますが、夜になると香りがいっそう濃くなるという説もあるために、このような意味深で大人な花言葉がついたのでは、とKさんはしめくくりました。
皆さまも、危険な快楽にはご用心。
小生の話は以上です。