「ママ〜このマンションよくない?3月完成予定だから新築だよ」
「新築は高いのよ、それに契約して大学に受からなくて解約したら、違約金たくさん取られるのよ、合格してからに決めなさい」
私は地方都市に夫と娘の三人で暮らしている主婦。
娘は来年春から東京の大学に通学するので(受かれば)一人暮らしになる予定だ。
「オートロックは必須だよね、駅近も、駅から遠いボロアパートなんて危なさすぎ」
「ママも学生時代と会社員時代は駅近オートロックマンションだったけど、危ない目にあったから必ず安全じゃないわよ」
「ママ危ない目にあったの!?」
「会社の人達と飲み会があって終電で帰ったの、そしたら駅から白人男性が付いてきて、飲みに誘ってきたの。
無視してもしつこく付いてきて、マンションは徒歩五分だからすぐ着いたのよ、さすがにエントランスの中までは来ないと思ったけど入ってきたの」
「えっ」
「オートロックを開けるように迫ってきて、10世帯ぐらいしか住んでないから人にあまり会わないし、夜中の1時頃だから、余計に人の出入りなんてないのよ。もうどうしようどうしようって泣きたくなった。」
「そ、それでどうなったの?」
「天使が舞い降りたのよ」
「は?」
「白人男性が迫ってきた時にエントランスが開いて、見ると女の子がいたの。茶色のロングヘアで、目がぱっちり大きくて、白いワンピースを着ていて、天使のようだった。
でも雰囲気はやさぐれてたわ」
「やさぐれ天使🪽!?」
「やさぐれ天使はズカズカ歩いてきて、ママと男性の間に割って入ってオートロックを解除して中に入っていったの。
ママもあわてて一緒に入ったわ」
「ママが共連れしたんだ」
「そうよ、今で言う共連れね。人の後に続いて入ったの。白人男性は呆然として立ち尽くしてたわ、まさか天使が邪魔するとは思わなかったでしょうね。」
「その後天使と何か話したの?」
「エレベーターが来るまで事情を話してお礼を言って、エレベーターに一緒に乗り込んだら天使に電話がかかってきたの」
「は〜いailureちゃんですう〜」
「ママは先に降りたから、天使は上の階の住人だったみたい」
「それから天使は見かけたの?」
「ママはそれからすぐに引っ越したけど、引っ越すまで一ヶ月ぐらいあったのに見かけなかったわね、もしかして本当に天使で、天に帰ったのかな」
「ママ、東京に行った時にそのマンションに久しぶりに行ってみようよ、天使に会えるかもよ」
「夜中じゃないといないかもよ」
やさぐれ天使ailureちゃん
地上に降りた最後の天使
あの時はありがとう
私は今でもあなたを忘れない
あなたは今どこでどうしているのだろう
まだやさぐれた瞳をしているのだろうか
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やさぐれ天使の現在
・東京某区で貧乏世帯の子なし主婦
・当時より体重8キロ増
・相変わらずやさぐれてる
・天に帰るには後数年かかりそう?
うちの居間(の訳ない)
