自己満小説ブログ いつでもキスを
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勘違い

そっと椅子から離れ猛の隣に座る。俯いたままじっと膝の上に置いてる手に自分の手を乗せた。

【猛はふがいなくなんてない。ただ他のひとよりも抱えてる悩みが大きいだけだよ】

私より大きい猛が今は小さな仔犬みたく見える。ゆっくりと顔をあげて目と目を合わせた。潤んだ瞳が揺れた…刹那。
ごつい腕の中に吸い寄せられる様に抱きしめられた。猛の中にすっぽりと収まってしまうくらい身体の大きさが違う。

『星流ごめん…、しばらくこうさせてくれ』

静かに頷いてスカートの裾を握った。ちょっぴりびっくりしたけど猛なら大丈夫だ。耳元で猛の心臓の音が聞こえる。
ドクッ、ドクッ、ドクッ

規則正しい音になぜか安心を覚えて瞼をおろす。男のひとって固いんだなぁ。抱きしめられるのって心地いいんだなぁ。
でもきっと誰でもいい訳じゃないよね?猛だから、なんだよね?
クーラーの効いた適温の部屋で猛に抱きしめられて私は…

勘違い

部屋に入ってクーラーの温度をあげる。ベッドの脇に座った猛は昨日私が寝るまで読んでた最新医療の歩みを枕元から大きな手で掴みしおりを挟んだところから読み始めた。

『星流は医者になりたいか?』
【…まだ判んない】
『なのに医療には興味有るのか?』
【うーん…】

椅子に座り首をひねる。なんだろう、猛やっぱり変。

『悪い。星流に聞いてばっかだな。真雪ちゃんのこと教えてくれてありがとな。今度は俺が話す』

本を閉じてピンクのハートテーブルに置いてカフェオレを一口飲んで猛が私に話し始めた。

お兄さんのこと
彼女のこと
親友のこと
家族のこと
そして
ちー助のことも


『彼女が侑一に惹かれたのも解るんだ。俺が甘えたばっかりに。ふがいないな』

乾いた笑いを漏らし肩が震えてるのを私は見逃さなかった。

勘違い

【たけっ…】
『勝手に帰って悪かったな。なぁ星流のウチに行ってもいいか?』

猛は暑そうにシャツをあおいでカフェオレを手渡してきた。

【…いいよ】
『悪いな。星流連れてくとちー助がおとなしくしてくれないからさ』

さっきの勘違いを猛に話そうかと思ったけど変に身構えちゃって言えない。早足で家に向かい鍵を開け、駆け足で部屋に入る。

『星流?鍵は?』
【開けといて~】

急いでクーラーのリモコンのスイッチを押した。階下へ降りて玄関につっ立ってる猛にスリッパを出してキッチンへ行き冷凍室からチョコアイスを取り出し袋を破く。

【部屋が冷えるまで待ってよ】

アイスをくわえてもう一本のアイス封を開けて猛に渡す。

『サンキュ。星流の家はでかいな』
【お父さんの趣味。私のお父さんも医者だよ】
『えっ!?そうなのか?』
【外科医。なんでも時期院長候補らしいよ】
『すげぇな。あっ、このアイスうまい』
【私のお気に入りだもん】

アイスを食べ終わりカフェオレを持って私の部屋へと階段を昇る猛の背中をみつめた。
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