モントリオールの旅も終わりに差し掛かり、明日の早朝飛行機で日本へ帰ることになる。あっという間だった気もするし、なんだかゆっくりと考え事ができて良かった。心と体に優しい旅だった（寒すぎてめちゃくちゃ風邪ひいたけど）。

一通り思い入れの深い場所をめぐって、その度にこうだったああだったと思いを馳せつつ、当時留学した学部にも足を止めた。本当に、この学部が嫌いだった。無関心な先生も、不親切なアドミンも、無駄に競争心の強い同級生も嫌いだった。諦めるということを最初に学んだのもここだ。だからこそ、成功と呼べるキャリアを携えて、ここに戻ってくることが自分にとってとても重要だったのかもしれない。自分の人生の最初の挫折に、それだけで終わらない自分を締めくくる必要があったんだと思う。

自己満足をばっちり充した後、足が棒になってきたからふらっと地域の教会に足を止めた。

そこは、特に有名な教会でもないので観光客もおらずひっそりとしていて、牧師さんかここで働いていると見えるおじいさんが、静かに壁にかかった装飾品の掃除をしていて、室内にはその布をこする音以外なんの音もしなかった。

ものすごく、ゆっくりと時間が流れていた。ふと、私が怒涛のような日々を送っていた当時から、この教会はあったんだろうなあ。。という考えが頭をよぎった。そして、その当時から同じようにここでは静かに時が過ぎていたんだろうな。そう考えると、なんだかせかせかと生きていた当時が少し滑稽に思える。当時あんなに大切だったこと達は、今思うと結構どうでもいいことばかりだ。

その時を生きる、というのはそういうことなんだろうな。その中にいると、嵐の中でもみくちゃにされているような気がするのだけど、実はそう思っているのはその瞬間の自分だけかもしれない。

モントリオールの旅: 2