今年のお仕事1である。
今年は、新生活2年目ということで、昨年度の後半からの続きからである。
「高市大寺の史的意義」は、大学紀要に掲載した寺院の論文である。昨年には、初期寺院の論文を書いたが、その続編である国家寺院を書く予定である。この場合、どうしても百済大寺→高市大寺→大官大寺の流れを考える必要があり、このうち位置・構造の不明な高市大寺の場所を確定しておく必要があった。そこで、文献史料・考古資料から、その場所と構造、その意義について考えたものである。これを踏まえて、国家寺院の話は既に投稿済みで、来年刊行である。
『飛鳥への招待』は、複数人で新聞連載していた古都飛鳥保存財団の飛鳥検定の文章である。新聞掲載は数回で、その微修正なので、たいして労力はかからなかった。しかし、座談会と紙上ウォークは、実際に歩き、写真を撮り、時間を計りながらということで、たいへんであった。
『難波宮と藤原宮』は、帝塚山大学で行ったシンポジウムの記録集である。藤原宮大極殿の背後で、回廊が見つかったことから、前期難波宮との比較がますます重要になったが、あわせて平城宮との比較が必要であったことを指摘した。
『月刊ならら』は、2ヶ月に一回連載しているもので、今年は3~8回目の連載である。特に、⑤からは、共催企画として、同内容の講座を二ヶ月に一回開催している。
今年は、書評・新刊紹介を2本掲載。木下先生の『古代の漏刻と時刻制度』は、水落遺跡の意義を研究するのに、これだけ多岐にわたる研究が必要であることを知り、頭の下がる思いである。一方、『難波宮と大化改新』も、多岐にわたる論文集で、難波宮と大化改新研究の現在がわかる。
明日香村文化協会の『明日香』では、ブラタモリの撮影秘話を記した。この撮影を体験すると、番組の裏側がわかり、他の回もおもしろく見れる。また、この撮影を踏まえて、狂心渠の新たな理解へと繋がったことも重要である(こちらも投稿済み)。
今年の「飛鳥遊歩マガジン」は「旬」が4本。年末にバタバタと発表された内容の旬は、来年に持ち越しである。また、連載の天智朝は完結したものの、スピードダウン。さて、時期連載をどうするか?壬申の乱か。
(論文)
・ 「高市大寺の史的意義」『奈良大学紀要 第49号』
(その他)
・ 『飛鳥への招待』
・ 「藤原宮」「シンポジウム」『シンポジウム報告書18 難波宮と藤原宮』
・ 「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ③飛鳥寺創建の意味を考える」『月刊大和路 ならら268号』
・ 「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ④中尾山からみた古墳の終焉」『月刊大和路 ならら270号』
・ 「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑤古代高速情報伝達網を構築する」『月刊大和路 ならら272号』
・ 「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑥飛鳥の時間を刻む」『月刊大和路 ならら274号』
・ 「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑦高市大寺の謎に迫る!」『月刊大和路 ならら276号』
・ 「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑧女帝の王宮『小墾田宮』」『月刊大和路 ならら278号』
・ 「斉明朝の王都造営-天下の中心の創造-」『土木技術 第76巻第8号』
・ 「『ブラタモリ』がもたらすもの-撮影秘話と後日談-」『明日香 明日香村文化協会会誌 第43号』
・ 「木下正史著『古代の漏刻と時刻制度-東アジアと日本-』」『日本歴史 2021年2月号』
・ 「書評 大阪市立大学難波宮研究会編『難波宮と大化改新』」『条理制・古代都市研究 第36号』
・ 「植野浩三先生のご退職にあたって」『文化財学報 第39集』
・ 「研究室紹介」『ならぶ Vol.187』
・ 「『日本国』誕生の歴史を読み解く」『奈良学友会たより 第54号』
・ 「飛鳥・藤原の考古学 天智朝の王宮と国際情勢 その9・10」(飛鳥遊訪マガジン)
・ 「飛鳥・藤原の考古学 藤原京周縁部の土地利用2」(飛鳥遊訪マガジン)
・ 「飛鳥・藤原の考古学 佐田の丘から狼煙があがる」(飛鳥遊訪マガジン)
・ 「飛鳥・藤原の考古学 大極殿の後殿はどこ」(飛鳥遊訪マガジン)
・ 「飛鳥・藤原の考古学 飛鳥京跡苑池・北池の構造と性格」(飛鳥遊訪マガジン)
・ 「飛鳥烽群の再検討-第77回定例会に向けて-」(飛鳥遊訪マガジン)