「我が国における宮中枢部の成立過程-内裏・大極殿・朝堂院の成立に関する覚書-」
『明日香村文化財調査研究紀要 第9号』(2010年)
明日香村教育委員会

 内裏・大極殿・朝堂院の成立について検討した論考である。
大極殿の成立については諸説があり、未だ定まっていない。今回、これらの諸説を検討すると、何に重点を置くかによって、前期難波宮か飛鳥宮跡かに分かれる。しかし、少なくとも、それ以降の大極殿と同じものは、藤原宮であるとせざろう得ない。同時に、大極殿だけでなく、朝堂院・内裏の性格や成立過程も検討しなければいけないことを示した。特に、朝堂院については朝庭と朝堂という別々の要素が、合わさることによって、朝堂院が成立したとみた。よって、大極殿も朝堂院も藤原宮で成立したとするのが妥当な意見であろう。