「奥飛鳥における文化的景観の形成-飛鳥川上流域の考古学研究を中心に-」
『明日香村文化財調査研究紀要 第8号』(2009年)
明日香村教育委員会
奥飛鳥地域における文化的景観、つまり歴史的な景観の変遷を、史料と考古学成果を用いて検討した論考である。
飛鳥川上流域は「奥飛鳥」とも呼ばれており、奈良県内でははじめての重要文化的景観に選定された。その文化的景観が形作られる過程を史料や考古学を使いながら素描したものである。このような歴史的な変遷をみると、まだまだ、考古学的な成果が少ないことがわかる。特に、朝風と呼ばれる地域では、朝風千軒や朝風廃寺があったとされ、石塔や南淵請安の墳墓も想定されるのであるが、いすれも、まだ実態が不明である。これらが解明されると、この地域の重要性が改めて再認識できると考える。
いずれにしても、奥飛鳥の居住形態や耕作形態の変遷についての一端は、明らかにできたと考える。