「飛鳥・藤原地域における文化遺産の特質-世界遺産登録へ向けての覚書-」
『明日香村文化財調査研究紀要 第7号』(2008年)
明日香村教育委員会
世界遺産「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の暫定一覧に掲載される前段階で作成していた文章を改編した論考である。
当初は、28の構成資産となっていたが、現在は20の資産に絞られている。飛鳥藤原が難しいのは、主に3点があげられる。まず、構成資産の完全性の意味では、史跡指定の範囲がまだまだ狭い。これは、徐々に広がりつつあるが、保護エリアの完全性が必要である。2点目は、資産がすべて埋蔵文化財で、西洋諸国の人々には理解しずらい点である。そして、これはOUVにもかかわることで、「日本誕生」では世界的にはみとめられない。この海外へ向けての打ち出し方は、これまでの価値観では対抗できないてんである。そして、地域の盛り上がりに欠けることも課題である。飛鳥の場合、どうしても行政主導となる。これらの諸課題をクリアーしなければ、登録はなかなか難しい。