『橿原考古学研究所紀要 考古学論攷』をいただいた。
この中におもしろい論考がある。橋本裕行氏の「道後温泉と華清池」である。はやい話が温泉考古学である。このようなテーマで研究すれば、温泉と遺跡を両方楽しめる、という邪道ことはさておき、なかなかおもしろいテーマである。
古代の温泉を遺跡からさぐり、当然その効能や目的など史料を踏まえて検討する。この近場では有馬や牟呂など有名である。飛鳥時代にもこれらの温泉地に行幸する記事が見られる。その中でも、伊豫国は舒明や斉明の行幸でも知られている。
「伊予温湯宮」「伊予熟田津石湯行宮」これらの宮の有力な候補地としては、松山市の久米官衙遺跡群の回廊遺構が有力視されているが、橋本氏は道後温泉周辺に求めている。残面ながら、関連する遺構はまだ確認されていないが、7世紀の土器や古代の(温泉にかかわる?)堆積土など、興味深い指摘もある。
いずれにしても温泉考古学もおもしろそうである。