さて、本日は久しぶりに研究会へ。
奈良女子大学で開催された都城制研究集会である。今年のテーマは「古代都城と寺社」。残念ながら午前中しか聞けなかったが、舘野氏の発表は改めて、いくつかの点で興味深かった。
古代寺院というと仏教という宗教施設だけなく、学問や文化、そして軍事施設であることはよく言われている。しかし、寺院を建立する理由は推古2年の記事から、「君の恩」「親の恩」のために建てられたものとされており、天皇のため・氏族の先祖のために建てるとされている。つまり仏教を君臣関係を確認する場としているのである。
さらに飛鳥寺は蘇我氏の氏寺であることは間違いないが、飛鳥大仏は天皇が蘇我氏などと共同で造ったことも、推古13年の記事からわかるとする。また、大仏完成の当日の設斎から、以降この日を仏誕会、安居の最終日を盂蘭盆会とするという。これら二つの法会は君臣統合を確認する場とする。その意味で飛鳥寺西の盂蘭盆会などの仏教行事は、仏教の形を借りた君臣儀礼となり、他の飛鳥寺西の記事とも理解しやすい。飛鳥寺の性格を改めて整理・検討する必要がある。
そして、天武6年には飛鳥寺南の記事があり、飛鳥寺西と南での儀礼の整理や、遺構の整理を必要とする。「飛鳥寺西と南」というテーマもおもしろそうである。
という具合に、いろいろと刺激の受けた研究会であった。
午後は所用にて、東大寺へ。毎年1回行っているのだが、今年も大仏さんに言っとかなければ忘れられそうである。しかし、今日は途中、晴れたり、曇ったり、吹雪いたりと、コロコロ天気のかわる一日だった。
東大寺の後には、はじめて旧大乗院庭園へ行った。綺麗な庭園に復元されているが、ちょっとさみしい感じである。