「飛鳥の石造物について覚書-制作年代をめぐる研究の現状と課題-」
『飛鳥文化財論攷0-納谷守幸氏追悼論文集-』(2005年)
納谷守幸氏追悼論文集刊行会
飛鳥地域には石造物がたくさんあるが、これらは斉明朝の産物とされるのが定説である。
しかし近年の発掘調査で、亀形石槽が出土するなど新たな段階に入ってきた。
さらに石造物の出土する遺跡が調査され、その性格・年代が特定されてきている。
しかし、遺跡の年代は必ずしも、斉明朝の造営を示しておらず、640年頃まで遡る可能性がある。
とすれば、石造物の制作年代もそこまで上がる可能性があり、皇極朝の位置づけについても再検討を要することになる。
本稿は、その問題提起をしたものである。