上野誠著『万葉挽歌のこころ』をいただいた。ありがとうございます。
 この本は、天智天皇挽歌群と呼ばれている、わずか9首の歌の解説である。この挽歌群の最大の特色は、天智天皇が病になってから、崩御、埋葬、散会するまでの一連の挽歌群である点である。単発の歌ではない点が、天皇の崩御にあたって、周囲の人々がどのように動き、歌にしたのかがわかる。つまり、葬送儀礼を万葉集から読み解いているのである。文学的な才能がないので、『万葉集』についてはよくわからないが、なかなか奥深い。このような視点を歴史に組み込めれば、新たな展開もひらけるであろう。
・上野誠著 『万葉挽歌のこころ-夢と死の古代学-』 角川選書 20121刊行
イメージ 1