さてさて、年末恒例の「今年のお仕事」メモである。
今年は嶋宮の再整理をまとめてみた。時期による変遷や範囲の変化、性格の違いなど、興味深い指摘ができたのではないだろうか。さらにこれに関連して、中大兄皇子の宮についても新たな指摘をした。今後、川向かいを調査することがあれば、おもしろいのだが。また、小墾田の兵庫については、常日頃から言っていたのを文章化してみた。これもなかなかだと思うのだが、これにはさらに続きが……。今は推古朝小墾田宮がおもしろい。
報告書は、昨今は現場にも出してもらえず、報告は少ない。しかたあるまい。この分、某所では、現場担当者でないので、人の現場を横から見て、自由な発想で話をしている。調査担当者は、まず事実関係の報告を第一とし、考察はその次なので、横にいる立場としては、ある意味おもしろい指摘もできるのではないだろうか。これは、連載中の推古朝のふたつの王宮にもいえる。
しかし、今年もっとも力を入れていたのは、某館と共催で行った展覧会。飛鳥の考古学の歴史や見慣れない遺物も大集合。来年は少し休憩をしよう。ただし、来年は某古墳の絵が見つかって40年。何かしないとなぁ……。
そんなことを思いながら、今年も暮れていくのであった。
(論文)
・「嶋宮をめぐる諸問題」『明日香村文化財調査研究紀要 第10号』
・「飛鳥古京の攻防」『琵琶湖と地域文化』
(報告書)
・『明日香村遺跡調査概報 平成21年度』(共著)
(図録)
・『飛鳥の考古学2010』(共著)
・「飛鳥考古学の軌跡」『飛鳥遺珍』
(その他)
・『明日香村埋蔵文化財展示室 展示資料解説5 飛鳥時代の二つの土器』
・『明日香村埋蔵文化財展示室 展示資料解説6 小治田宮の土器』
・「飛鳥・明日香・あすか」『飛鳥京-明日香路小誌33-』
・「中大兄皇子宮」『明日香-明日香村文化協会々誌3-』
・「飛鳥・藤原の考古学 飛鳥の名勝庭園 飛鳥京跡苑池」(飛鳥遊訪マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 藤原宮下層の運河とその支流」(飛鳥遊訪マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 苑池から見える風景」(飛鳥遊訪マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 推古朝のふたつの王宮2~6」(飛鳥遊訪マガジン)
・「嶋宮をめぐる諸問題」(飛鳥遊訪マガジン)