歴代遷宮や遷都の理由について、考察した図書を読んだ。しかし、遷都の理由はいくつもの要因が推定されるが、やはりなかなか、明確・明瞭な理由は難しい。
本書は歴代遷宮から、7世紀の難波・大津への遷都、そして藤原京へ、平城京への遷都について検討している。著者のこれまでの論考を一般向けにしたものだが、やはり、わかったとはいいがたい。本書では宮の構造や、藤原京に関わる諸問題に重点が置かれている。それはそれで興味深いのだが、タイトルからいくと遷都の理由について、明言してほしかった。まあ、それだけ単純ではないということなのだろうが……。しかし、示唆的な点もちりばめられているので、もう一度読み直そう。
ただし、来週はそんなことをしている暇はないか。
仁藤敦史 『都はなぜ移るのか-遷都の古代史-』 吉川弘文館 2011.12刊行
・都城の役割と遷都-プロローグ-
・歴代遷宮の段階
・倭京の形成と近江・難波「遷都」
・浄御原宮し新城
・藤原京の成立
・平城京から長岡・平安京へ
・「動かない都」への転換-エピローグ-