橿考研博物館で「仏教伝来」なる展覧会がはじまっている。先日、見学に行ったが、なかなか充実した展覧会である。
 寺院は専門外ではあるが、ひとつだけ興味のあるテーマがある。初期寺院の構造である。飛鳥時代の初期寺院には、伽藍が判明しているものの建築時期よりも古い瓦が出土することが、ままある。おそらく創建寺院は、お堂が一つだけであったのが、伽藍を新たに整備するときには、創建建物を撤去するのではないだろうか。つまり、最初から立派な伽藍を建てることのできる氏族は少ないとおもう。さらにこの背景には、飛鳥寺以前の史料にみられるように、屋敷内に堂を建てたり、邸宅を寺にしたりすることがあるのだろう。これらのことを、まじめに考古資料から検証しなければと思う。その意味でも、今回の「仏教伝来」の展覧会は示唆的でおもしろい。
 ・橿原考古学研究所附属博物館 『仏教伝来』 10月1日~11月20日
 
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