先日、名古屋で、とある医師と話をする機会があり、歴史の話で盛り上がった。その中で、今の学校の歴史の授業に及んだ。最近は、我々の頃とは違い、鎌倉時代も1192年ではないらしい。鎌倉時代開始の定義の問題で、征夷大将軍になっと時か、幕府開幕のときか、鎌倉に入京した時かと、いろいろであるがためらしい。
 それはさておき、子供たちの歴史離れをしている原因は、受験のために項目と人名と年代だけを丸暗記するたけが問題だということになった。歴史的な事件には、前段階に背景があり、理由があり、そして事件が起こる。その結果、新たな転換へと変化していくのである。この積み重ねや継続性が「歴史」なのである。この流れをなくして、項目や年代だけ覚えても、それでは「歴史」にならない。なぜ事件が起こったのか、どうすればよかったのかなどを考えることが、歴史の授業である。これらの点について、先生とも話は一致したのである。
 考古学に関わる者としては、やはり歴史に学ばなければならない。考古学を通して歴史を復元し、その歴史から学び、これからに繋げていく。「歴史は繰り返す」とよく言われる。確かに歴史は繰り返されることが多い。だが、繰り返さないために、過去を知り、反省をするのである。そして未来に活かすのである。これは世界の歴史、日本の歴史だけでなく、個人の歴史でも同じであると、最近つくづく思うのだが……。