『石ひとすじ』という図書が刊行された。石工である左野勝司さんの著作である。左野さんといえば、藤ノ木古墳の石棺を開棺したり、モアイ像を修復したりしている人物である。つい数年前もご一緒に仕事をさせていただいた。高松塚の解体である。高松塚の解体事業は、まさに様々な分野の人々によるチームで成し遂げたものであり、私も発掘班として参加した。この高松塚のことも本書では記されており、まさに裏話である。このときは命をかけて取り組んだことを、当時も横で見ていたが、ここでも改めて示されている。読みやすい本なので、ぜひ、ご一読をしてはどうであろう。
 
・左野勝司 『石ひとすじ-歴史の石を動かす-』学生社 2009.12刊行
 1. 石との出会い
 2. 唐招提寺と生涯の師
 3. 忍性の墓・行基の墓と竹林寺
 4. 石舞台古墳の復元
 5. 世界と飛鳥の石造物
 6. モアイ像の復元
 7. アンコール遺跡・西トップ寺院の復元
 8. 高松塚古墳の解体をめぐって
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