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 仕事から帰ると郵便が届いていた。中を開けると、本が一冊。富山の方から新刊を送っていただいた。本のタイトルはずばり、「水洗トイレは古代にもあった-トイレ考古学入門-」である。ありがとうございます。
 「トイレ考古学」はまだ誕生してから10数年し経っていない。その歩みをはじめたのは、藤原京の現場からだ。私も現場の図面を書きに行った記憶がある。発掘当時はまだトイレと断定できなかったが、土壌分析などによって、様々なことがわかってきた。
 古代のトイレが一つ見つかると、各地で発見が相次ぐ。そして、以前の調査も再検討されるのである。 「トイレ考古学」というと、古代人はどこでウンチをしていたのかや、その構造はというだけでなく、どんな食生活をし、どんな栄養状態だったのかなど、実に様々なことがわかってくる。古代世界が鮮明に復原出来るのである。実に広がりが学問でもある。しかし最近はその研究も停滞気味らしい。発掘事例が少なくなっており、同時に問題意識が薄れているらしい。「トイレ考古学」に限らず、様々な問題意識をもった調査が、レベルアップにつながっていくのである。興味のある方は、ご一読あれ。


黒崎直『水洗トイレは古代にもあった-トイレ考古学入門-』吉川弘文館 2009.12

 プロローグ トイレ遺構とは?
 1.トイレの考古学
 2.古代のトイレ-宮都のトイレ事情-
 3.トイレ風土記-日本各地のトイレ事情-
 4.トイレ遺構あれこれ
 エピローグ トイレ考古学のめざすもの