森公章著『奈良貴族の時代史-長屋王家木簡と北宮王家-』という本を頂いた。ありがとうございます。
 これは平城京で出土した「長屋王家木簡」を題材として、奈良時代史を再構築しようとしたものである。サブタイトルにもあるように「北宮王家」を軸にしたもので、「北宮王家」自体著者の提示した語であるが、高市皇子から長屋王へと繋がる一族である。従来、奈良時代の歴史は『続日本紀』によって藤原氏、飛鳥時代(前半)の歴史は『日本書紀』によって蘇我氏の歴史と考えられていた。少なくとも、彼らを軸に歴史は語られていた。しかし、森氏は「長屋王家木簡」の解読により、新たに「北宮王家」に注目することによって、違った角度から歴史を語ろうとしている。木簡や史料が多くて、難しいところもあるが、なかなかおもしろい。まだ、途中までしか読んでいないが、おすすめの図書である。みなさん、ご一読を……。

・森公章 『奈良貴族の時代史-長屋王家木簡と北宮王家-』講談社選書メチエ(2009.7)
  第一章 奈良時代史の舞台 平城京
  第二章 北宮王家のなりたち
  第三章 藤原氏の展開
  第四章 北宮王家の試練
  第五章 北宮王家の行方