3日間だけだが、千年の都・慶州に行った。さすが慶州は、遺跡の密度が濃い。宮殿・苑池・寺院・古墳などなど……。しかも怒濤の如く発掘をしており、豪華に復原している。今回、いろいろと話を聞きながら、各地を見学してまわったが、日本とはいくつかの点で大きく異なる点や疑問な点がわいてきた。
 まず、発掘調査の精度について。韓国では学術調査であっても、多数の試掘溝をあける。これは遺構の分布を詳細に確認することができ、有効である。そして、畦を残しながら、広大な面積の発掘をしている。しかし、あまり層位を気にせず調査をしているらしい。だから隣接したトレンチでも、遺構の層位関係の検証が不十分のまま畦をとばしている。これでは考古学の基本である、層位学と形式学の観点からのクロスチェックかできない。さらに、最近でこそ、座標測量をして、調査区同士の位置関係をわかるようになってきたらしいが、これまでそれぞれの調査区内で完結した測量であったようだ。都城遺跡なのて、広範囲に遺跡が広がり、正確な位置関係を押さえることが必要がある。
 遺跡保存に関しては、発掘調査後に埋め戻さずに、そのまま放置している調査区が多い。たとえば、芬皇寺東の苑池などそのままである。そのままでは遺構は荒れるし、なぜ埋めないのであろうか。埋めていないといっても、見学できるようになっているわけでもなく、遺構自体も荒れているので、見てもよくわからない状態のままである。
 復原に関しては、慶州には復原された建物や古墳が多くあり、何も知らなければ、これが正しい復原だとおもう。しかし、明活山城の石垣は、石の積み方や、石材の形状など、実際とはかなり異なるらしい。古墳も芝の貼った腰高の古墳が多く復原されているが、あの高さは不自然で、復原にあたって、かなり大きくしているようだ。そして、現在復元工事中の月精橋も、模型を見る限り、その復元にどこまでの正確さがあるのかを疑問に思ってしまう。
 現在、古墳公園の横を大規模に立ち退き・公有化をはかって、怒濤のような発掘、そしていずれ、古墳がたくさん復原されるのだろうと思うと、韓国パワーはある意味すごいと思う。しかし、テーマパークなら良いが、文化財の復原としては、……。考えさせられるものがあった3日間だった。(完)