「お金を稼ぐよりも使い方を考える方が何倍も難しい」って父が言ったの。
ふつーに使い方なんていっぱいあると私は考えたから、「何で??(・.・)」って聞いたの。
「あのね、お金がいっぱいあればある程、自分のために使う方法はそれなりにあるかもしれへん。
でもね、有り余るお金があったとしよう。それでは満足しない。というより物足りなくなる。精神的にね。
だから、今度は自分以外の他の人のためにお金を使いたくなる。精神的に満たされるために。
でも、これが難しい。」
訳がわからないので、私はまたしても「何で??(・.・)」
ここで祖父の登場。うちの祖父は超頑固者で、(もう亡くなったけれど)生きている時も、父が小さい頃から
風邪をひいたら「自己管理が足りない」と言って熱を出している父を飛び蹴りしまくるという、変わり者。
しかもシュワちゃんに師範としてハワイでテコンドーを教えたり、大阪高裁の裁判官を裁判で黙らせた事
が原因で、新しい不動産の法律を作らせるなど、数々のエピソードの持ち主。祖父が生きていたら多分私は半
殺しにされてたと思うと父に言われたくらい、何かにつけて厳しい人だったらしい。
そんな祖父と父が何十年も前に、仕事でアメリカに行った時の事。
空港内で飛行機を待ちながらいそいそと買ってきたハンバーガーを食べていると、いかにもみすぼらしい
黒人の男の子が一人やってきて、一枚10円程度のガムを500円くらいの値段で買わないかと聞いてきた。
父は当然「んなアホな」と、どっか行けという意味でしっしっと男の子を追いやった。
男の子はしぶしぶ次のターゲットを探しに引き返そうとした。
すると、父の真隣りに座っていた祖父が男の子を呼びとめた。
男の子は不思議そうな顔をして祖父の所にやって来ると、祖父は男の子に、
「それをいくらで売ってくれる?」と聞いた。
男の子は先ほど父に提示した値段と同様に「500円だよ」と返答した。
そして祖父は言われた金額通りに男の子にお金を払い、男の子からガムを受け取った。そして、
「それじゃあ、おじさんにガムをくれたお礼に、これを君にプレゼントしてもいいかな?」と言って、
受け取ったはずのガムを男の子に渡した。
すると男の子は満面の笑みでその場から立ち去った。
「どうしてそこでね、おじいちゃんがそんな事したと思う?明らかに貧しそうなその男の子に、お金だけ渡して
帰らせる事も出来た。ガムを欲しいなんてさらさら思ってない。
ここが、おじいちゃんとお父さんの違い。おじいちゃんは自分がぼったくられてる事なんて十二分にわかって
る。そんな事とうに見越してる。でもね、なんでお金だけはいと渡して終わらないかと言うと、
そんな男の子でも小さくてもプライドはある。だから、お金だけもらってその男の子のプライドが傷つかない様
に、ちゃんとガムという対価をもらう。そうすると、男の子のプライドは傷つかない。
ただ単にお金だけ渡してやる、というのは男の子のプライドを傷つけてしまう。そんなやり方は、お金を支払う側
の単なる自己満足であって、支払われる側の気持ちを考えてない。
おじいちゃんは『施し』はしない。施しというのは、物乞いの人にお金を一方的に支払う様なもの。
それはおじいちゃんは「相手に失礼や」と言う。お水のクラブとか行っても同じ。ただお金があるからと言って、
お金をバラまくのは、施しと一緒。相手に失礼。だからね、施しではなく、『チップ』を渡す。
『チップ』は、相手のトークなりなんなり、芸に対する対価としてのもの。”楽しませてもらった、だからそのお礼に
『チップ』を渡す”
これがカッコイイ、お金の使い方。お父さんはそのおじいちゃんと男の子のやりとりを傍で見ていて、
心底自分の器の小ささを恥ずかしく思いながらハンバーガーを食べてた」
なるほどねぇ~~~
そして考えたら、父の誕生日なり何なり、私は父にプレゼントをあげたりとか食事に連れていったりだとかした際
かなりの自己満足を一方的にしていた事に気付いた。。。これは痛い;
父の話を聞かなければ多分気付いていなかっただろうなぁ
これは痛恨のミスというか、なんというか・・・申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
”させて頂いてる”のは、こっちの方だった。
この気持ちを忘れたくないのでここに覚書として残そう。
やっぱり私は父が好きだなぁ。ファザコン万歳www
親孝行は後悔が無くなるまでやるべきだと思った一日。