もうすぐ新卒社員がやってくる新年度。上司となるベテラン社員にとっては年の離れた部下との新たな関係づくりに苦労する季節だ。ましてやセクハラやパワハラへの関心が高まっている昨今、部下に対する何気ない言動ひとつでも大問題に発展しかねない。
そこで今回は、超一流のビジネスマンたちと親交が深く、『元銀座No.1ホステスが教える おじさん取扱説明書』(鉄人社)の著者である鈴木セリーナ氏に、部下と良好な関係を築くために大切なポイントをうかがった。
「普段の行動は優しく、しかし、無駄にカラまない」
若い女性から何かと疎まれがちなおじさんだが、「実年齢ではなく、おじさんくさくないかどうかが問題」という鈴木氏。特に重要なのがやはり身だしなみだ。“清潔感が大切”とは耳タコだが、具体的に仕事の場では何を意識すればいいのか。
「企業の重役クラスの方でも、数十万円のスーツを10年とか着ていることが結構ありますが、スーツがくたびれていると一気におじさん感が出てしまいます。スーツの場合、10年くらいでシルエットやデザインもかなり変わります。安物でもいいから、なるべく頻繁に買い換えて新しいスーツを着ましょう」
幸い、最近ではユニクロなどでも随分スーツは安く買え、サブスクリプションサービスなどもある。消耗品と割り切って、新しいものを常に身につけよう。
「逆にYシャツはケチると如実に安物とわかってしまうので、しっかりお金をかけるように。例えばブルックス ブラザーズのYシャツは1枚1万以上してしまいますが、ジムなどで鍛えていないというおじさんでもカッコよく引き締まって見えますので、個人的にはオススメです」
また、職場でのおじさんのウザい行動として、鈴木氏が真っ先にあげたのが無駄にしつこく話しかけてくる行為。
「若い女性から『忙しい時に限って、しつこく話しかけてくる男性上司がいて、対応に困っている』という相談を最近よく受けます。上司の方は悪気なくフレンドリーに接しているだけかもしれませんが、相手の状況をしっかり考えてあげる必要があるかと思います。特に若手は上司に対して想像以上に気を揉むことも少なくない上、仕事でいっぱいいっぱいだったりしますから」
とはいえ、時には仕事とはあまり関係ない社内コミュニケーションも大切だと思うのだが……。あくまでも部下との距離感を普段からきちんと把握し、仕事の状況をよく観察しながら、上司として適切なコミュニケーションを心がけるのが肝心なようだ。
「例えば髪型や服の変化に気づいたら、一言軽く褒めてあげたりするのは全然いいと思いますよ。“普段から行動は優しく、しかし、無駄にカラまない”というのが鉄則です。結局、余裕がない時に考えなしの冗長なコミュニケーションを求めたり、会話を切り上げようとしているのにしつこくカラんだりすると、ウザがられてしまうということですね」
出世したければ“ツンデレおじさん”キャラを目指せ
「身も蓋もない話ですが、セクハラ・パワハラは何をするかではなく、“誰がするか”という問題もありますね。良し悪しはともかく、キャラで許されることは現実問題として多々あります」
結局、ダブルスタンダードか……とやさぐれたくもなるが、社会では誰しも何かしら色眼鏡をかけて生きている。“キャラ損”を嘆くのではなく、キャラで得する方法をしたたかに考えるのが、大人の処世術というものだろう。
「政治家の方で問題発言を繰り返しても、なぜかそれなりに人気で許されてしまうおじさんっていますが、人心掌握術という部分では会社で出世する男性も同じ。普段は多少、太々しくても図々しくてもいいので、ツンデレキャラを目指しましょう。上司として頼りないと思われては元も子もないのでやりすぎは禁物ですが、自分の弱みもある程度晒していると何かと大目に見てもらいやすいです」
部下の叱り方も多くの人の悩みどころ。もし女性部下に泣かれようものなら、ついうろたえて、どうフォローするか考えてしまいそうなものだが……。
「そもそもフォローする必要はありません。なかには優しく構ってくれる男性につけ込む女性もいますから、部下に泣かれても『そこ泣くところじゃないから』くらい言うべきですね。それが後々の彼女や他の部下のためにもなる。一流の男性のツンデレ感ってそれくらいハンパないんです。普段は部下から親しみやすい感じでも、そういう場面でしっかり対応できる男性は信頼され、出世もしやすい。特に女性はM気質の人が多いですから。反対に職場で泣く女性にむやみに優しくしてしまう男性は、いざという時に神輿を担いでもらえません」
嫌われることを過度に恐れていては、部下から真の信頼を得ることは難しいようだ。