前日17日に全国ツアー・さいたまスーパーアリーナ公演を開演直前に中止した歌手、沢田研二(70)が一夜明けた18日、横浜市内の自宅近くで報道陣の取材に応じた。中止理由について「9000人と聞いていた観客が7000人しか入っていなかった」と説明。自身で決断したといい、「責任は僕にあります」と謝罪した。14年前の公演中止と同じく観客が少ないことでドタキャンしただけに、批判の声が高まりそうだ。
沢田の公式サイトがこの日、「お客様には大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」とメッセージを記載。それを受け、沢田本人が詰めかけた報道陣の直撃に自ら口を開いた。
公演中止の理由について「(観客数は)当初9000人と聞いていたが、7000人しか入っていなかった」と説明。また、直前リハーサルの際、客席をつぶしたブロックが目立ち、「『なんだ、これは!』と思った」と振り返った。
さらに沢田は「客席がスカスカの状態でやるのは酷。僕にも意地がある。最終的には自分で中止した」と苦い表情。「もちろん僕の実力不足はあります」と反省したが、所属事務所や主催者に対し「もっと頑張って客席を埋めてくれと話してきた」と要望した上で、「ファンには申し訳なかった」と謝罪した。
さいたまスーパーアリーナは客席が可動式で、1万人から3万人以上の収容が可能。沢田が話したように当初、9000人を集客予定で、関係者によると会場使用料約1000万円も支払い済みだった。沢田は17日午後5時開演の2時間ほど前まで主催者側と話し合いを続け、土下座で開催を懇願されたが、頑として断ったという。
2004年10月にも、茨城・水戸の県民文化センターで開催予定だった公演を、観客が当初見込んだ1700人の半分にも満たないことを理由に中止。それ以来14年ぶりに再び怒りを爆発させた格好で、プライドの高さを再び印象づけた。
また、会場側はドタキャン当日の17日、中止の背景についてサンケイスポーツの取材に「沢田さんサイドに重大な契約の問題が発生したため」と説明。この日、サンケイスポーツの取材に答えた複数の関係者は、沢田が主催者とともに会場と結んだ契約書で反原発の署名運動をしない約束だったにもかかわらず、当日になって行おうとしたことが発端だったと証言している。
沢田はここ数年、反原発の歌を作ったり署名運動をしているが、同アリーナは公式サイトで公演とは直接関係のない活動を規制。その点で沢田と折り合いがつかなかったことが、中止につながったと見る向きもある。
★古希記念のツアー
今回の全国ツアーは70歳の古希を記念したもので、今年7月6日の東京・日本武道館から来年1月21日の同所まで全66公演を行う。今回のドタキャン騒動後、初の公演となる今月21日の大阪狭山市文化会館公演は予定どおり行うとしており、ファンに向けた沢田の発言に注目が集まる。なお、17日の公演については、沢田や主催者の公式サイトで近く、チケットの払い戻し方法について告知され、振り替え公演も検討中という。
★SNSでは批判的な声も
沢田の説明について、SNSでは「ファンを蔑ろにしすぎ」「プロとしてどうなのか」などと批判的な意見が上がった。一方、人気絶頂期を過ぎた現在の集客力を考慮した上で、大規模会場のさいたまスーパーアリーナでの開催に疑問を投げかける声もあった。