12日に開幕した徳島市の夏の風物詩、阿波踊りを巡り、混乱が続いている。従来の主催団体の一つ「市観光協会」の赤字問題を受け、市主導の実行委員会が主催して開催にこぎつけたが、恒例の「総踊り」の中止を決めたことに、踊り手団体「阿波おどり振興協会」が反発。13日夜、独自開催に踏み切った。遠藤彰良市長は「(中止要請を)無視して行われたことは、誠に遺憾」とするコメントを発表した。

総踊りは、期間中の毎日午後10時から実施されてきたイベント。4カ所の有料演舞場の一つ、「南内町演舞場」が会場で、1000人以上が一斉に踊る迫力と美しさが人気を集めてきた。
実行委は今年、1カ所の演舞場への集中を避け、チケット販売促進を図るためとして総踊りの中止を決定。同じ時刻に各演舞場で有名連(踊り手グループ)が次々と登場する方式に切り替えた。
12日の独自開催は見送った振興協だが、「総踊りをやってほしいとの声が多く寄せられている」(山田実理事長)として13日の開催を決定。実行委員長でもある遠藤市長は同日、緊急記者会見を開き「雑踏の中での実施は極めて危険」と改めて中止するよう訴えたが、結局、別の場所で決行した。

【市に反発「総踊り」決行 徳島阿波おどり、対立激化】
徳島市で開催中の夏の風物詩「阿波おどり」で、千人以上が一斉に踊る恒例の「総踊り」を市を中心とする実行委員会が中止したことに反発し、有力踊り手団体が13日夜、演舞場近くの道路で独自に総踊りを決行した。旧主催者の赤字問題で揺れた阿波おどりは、運営方法を巡り市と踊り手団体が激しく対立する異例の事態となった。

団体は14の踊り手グループが所属する「阿波おどり振興協会」。交通規制された演舞場近くの広い道路を使い、踊りを披露した。千数百人の踊り手が参加したとみられる。周囲は観客らが殺到し、踊りを止めに来た市幹部に「帰れ」と怒号が上がるなど一時騒然となった。