ワールドカップ1次リーグで日本と同組ということもあり、注目度急上昇中のポーランド。そのポーランドでは日本が大人気。2017年よりワルシャワに拠点を移す筆者が、ポーランド人の“日本愛”を現地からリポートする。

ポーランド人の日本好感度の高さは世界レベル!? 
日本ではポーランドというと残念ながら“今一つなじみの薄い国”感が否めないが、ポーランドでは日本はどのようにとらえられているのだろうか?
 
 実はポーランドは「日本が好き」という人がとても多い。逆に、筆者は「ポーランド好き」が高じて移住まで決め込んでしまったが、その際ポーランド人の「日本好感度」の高さは少なからず影響している。あくまで個人の感想ではあるが、ポーランドは今まで訪れたどこよりも日本に対する好意を感じる国だ。
 
 過去記事でも、日本が気に入り会社まで興したポーランド人青年の話や、将棋に魅せられ、外国人初の女流棋士になったポーランド人女性、ワルシャワの人気レストラン・ランキング1位に輝くうどん屋を紹介してきた。
 
 日本人が思っている以上に、日本はポーランドに愛されているといってもいいのではないだろうか。
日本大好きポーランド人がこぞって集まる「日本祭り」
 
 そんなポーランド人に大好評のイベントがある。
 今年は6月23日に開催された第6回日本祭り「Matsuri - Piknik z Kulturą Japońską(マツリ - ピクニック ス クルトゥーロン ヤポンスコン)」だ。
 
 直訳すると「祭り- ピクニックと日本文化」となる。ピクニックのような開放的な雰囲気の中で日本文化を楽しんでもらおうというイベントだ。在ポーランド日本大使館、ポーランド商工会、ポーランド日本人会が共催し、実行委員会を結成、イベントの運営にあたっている。実行委員のメンバーは日本人・ポーランド人混合で、すべてボランティアだという。
 
 会場となるのは、ワルシャワの中心街から地下鉄で十数分程度のスウジェフ。駅からほど近い広大な公園の一角にある文化センターが祭りの場となる。開催エリアが広いのでごみごみした感じはあまりしないが、この日本祭り、とにかく人が多い。
 
 屋外、屋内ステージのほか、企業ブースゾーン、ショッピングゾーン、カルチャーゾーン、フードゾーンなどが設置され、バラエティに富んだプログラムが展開される。 
 
 実は筆者は昨年開催された第5回日本祭りも訪れている。縁日に毛の生えた程度のものを想像し、軽い気持ちで行ってみたら、あまりに規模が大きくて驚いた。 
在ポーランド日本大使館に取材したところ、最初に日本祭りを開催したのは2013年。文化、観光、食など多角的な観点から、日本文化を紹介することを目指しているという。
 
 スウジェフでの開催は昨年から。2017年は約2万人もの来場者があり、2018年も同程度の集客が見込まれるという。
 ワルシャワの人口は約172万人。イベント開催は1日だけで、開催時間は11:30~19:00と比較的短いことを考えると、2万人の来場者というのはかなりの盛況といえるだろう。
 
 比較するデータがないので断言はできないが、各国大使館などがワルシャワで開催するイベントの中でも、この日本祭りは飛びぬけて大きいのではないかと思われる。やはりポーランド人は日本が大好きなのか!?
盛りだくさんのプログラム中でも人気はフードゾーン
 
 プログラムを見ると、阿波踊りに、よさこい、柔道、空手、弓道、剣道、能、日本の伝統音楽の演奏、茶道、将棋、書道、ミス浴衣コンテストなど、数えきれないほどの催し物がある。ステージでの演奏やデモンストレーションなどを鑑賞できるほか、ワークショップなど体験型のプログラムも用意されている。文字どおり盛りだくさんだ。
 
 中でも「鉄板」人気を誇るのはフードゾーン。中間所得層に勢いのあるポーランドでは近年、ヘルシー志向が高まっており、このイベントに限らずヘルシーイメージのある日本食は人気が高い。どのブースの前にも多くの人が並んでおり、売り切れで早々に店じまいするブースもある。
 
 ステージのパフォーマンスで日本っぽい雰囲気を味わい、日なたぼっこをしながら日本食を堪能、というような楽しみ方をする人が多いようだった。
 
 筆者はたい焼きを買ってみた。驚いたのはポーランド人(*)の職人さんが焼いていたこと。すぐ近くのたこ焼き店のブースでも、慣れた手つきでたこ焼きを焼きあげていたのはポーランド人(*)だった。
*国籍までは確認していないのでポーランド人以外の可能性もあり
日本語をしゃべるポーランド人とも多数遭遇
 
 会場では日本人らしき姿もちらほら見かけるものの、来場者の大半はポーランド人。中にはアニメのキャラクター風のコスプレをしている人や、浴衣を着ている人もいる。
 
 渋い浴衣を着こなしていたMarcinさんに話を聞いてみると、
「この浴衣は日本に旅行した時に買ったものです」
 と日本語で答えてくれた。
 
 せっかく買ったものの、さすがに普段、ワルシャワの街を浴衣を着て歩くのはちょっと恥ずかしい。その点、日本祭りでは気兼ねすることなく浴衣姿を披露することができるので「すごくうれしい」という。
 
 ちなみにMarcinさんは日本語学習歴約4年。趣味なのであまり真剣に勉強しているわけではないとのことだが、日本語ペラペラといってもいいレベルだ。
 
 そしてMarcinさんとしばし談笑をしていると、彼の知り合いというポーランド人が何人か話しかけてくる。もちろん流暢な日本語で。
「ポーランドは世界でも有数の日本語学習熱の高い国だ」と日本語教師をしている知人から聞いたことがあるが、たしかに筆者の周りにも、日本語を勉強したことがある、勉強したいというポーランド人は少なくない。