「母親からバカ、ブスと罵られ続けて」 親を捨ててもいいですか
風俗嬢×精神科・美容外科の元看護師の経験をもとに、お悩み相談にお答えするこの連載。第20回は、恋愛とはちょっと外れた、「母娘問題」についてです。
◆Q.母親が”毒親”でどうしても愛せない
相談者:あみ さん(仮名)25歳
「私の母親は、いわゆる『毒親』でした。とくに暴力を振るわれたとか、虐待を受けたわけではないのですが、幼い頃に父親と離婚してから、家の家事はほとんどせず、いつも男と遊びに出ていました。
物心ついてからも日常的に『バカ』や『ブス』と罵られ、私を世話して育てたのは、母親ではなく、祖母だといっても過言ではありません。
私は高校卒業後、とびだすような形で一人暮らしをはじめ、そこから母親には会っておらず絶縁状態ですが、ことあるごとに周囲から『親不孝だ』とか『母親なんだから本当はあなたを愛しているに違いない』などと言われます。
私は母親に感謝の心なんて抱けないし、いまさら仲を修復しようとも思えません。私の考えは間違えているのでしょうか。無理をしてでも、母親と向き合うべきなのでしょうか」
◆A.親はみんな子どもを愛している…はウソ
yuzukaさんの回答
まず、当たり前のようで忘れがちな言葉を、もう一度、伝えておきます。「子どもは親を選べない」という言葉です。私たちはこの世に生を受けることを望んですらいません。産み落としたのは、親の勝手です。
私は「生んでくれたことに感謝しろ」という言葉が大嫌いです。勝手に生んだのです。「生んでくれ」なんて、誰も頼んでもいませんから。
私たちは親の経済状況も、顔も、性格も選べません。偶然、その場に産み落とされたあげく、「なにをされても親だから許し、感謝し、愛せ」と、当たり前のように求められる。
そんなの、酷すぎる話だと思いませんか?
たまたま裕福で、愛情いっぱいの家庭に生まれたら……。もちろん、全力で感謝し、そのうち親孝行でもすれば良いと思います。でも、もしそうではなかったら……。あなたを愛することすらなく、「子どもとしての責任」だけを強要してきたら。
「親」だというだけで、「お腹を痛めて生んだから」というだけで、それを受け止めて全うする義務など、ないと思うのです。
◆親に縛られる必要はない
風俗嬢をしていても、精神科の看護師をしていても、世の中にはさまざまな家庭環境の人がいることに気づかされます。両親に暴力を受けて育った人、そもそも親に捨てられ、家族というものを知らない人もいました。
私はそういう人たちに触れ、実感しました。「親だから必ず子どもを愛している」わけではない。それは、愛されているからこそ語れる夢物語です。
あみさんの母親が、あみさんを愛していたかどうかは分かりません。でも、あみさんが受けた暴言は、れっきとした精神的な虐待です。あみさんが傷ついたことを「親にされたことだから無条件に許せ」とは、思いません。
◆親を憎んでもいい、親を捨ててもいい
何度も言うように、私たちは生まれてくるとき、親を選べません。だけど、生まれてから「認めない」という選択をすることはできます。
愛してもくれない、幸せにしてくれる気のない親を、親だと認める義務はない。縛られる必要などないのです。あみさんの人生は、あみさんの人生。そのことを、忘れないでください。
実は私も、ずいぶん前から母親と絶縁状態にあります。そのことを周囲に話すたび、あみさんと同じように「実の母親があなたを愛していないはずがない」という言葉をかけられました。でも、その人達のイメージする「母親」と、私の知る、私の「母親」は、全く違うのです。
「彼氏」といっても、選ぶ相手によって千差万別。捨てたほうがいい相手だっています。それは「親」も、ほとんど同じだと思っています。幸せになるために、躊躇する必要はありません。
母親と会って話し合うもよし、絶縁するもよし。ただし、後悔はしないように。あみさんが幸せになる選択を。じっくり考えて答えを出してくださいね。
―yuzukaの恋愛相談―
【yuzuka】
20代の現役風俗嬢。精神科や美容外科の元看護師。ツイッターや「note」での冷静な人物評や恋愛アドバイスには定評がある。ツイッターアカウントは@yuzuka_tecpizza