2度あることは、3度起こった。


右手薬指の剥離骨折から1ヶ月、医者からバレー再開の許可が出た。その間、オーバーパスはお預けになってしまったものの、試合前の総合的な練習でセッター不在はありえなかったことと、私自身が落ち着かなかったこともあり、練習には参加した。


本来なら、怪我中にボールに触るのはやめた方が良かったんだろうけど、試合までの2ヶ月弱、セッターとしてまだまだ仕上がっていない状況でとにかく出来ることをやらないと、ということで直接指を使わない、アンダーでトスを上げる練習をした。


アンダーパスでトスを上げるというのは意外に難しい。指10本使えるオーバーでのトスよりも、ボールコントロールが格段に難しい。姿勢を思ったより低く丁寧に(これが、筋力要る)、アタッカーとの距離が近いほど、繊細なプレーが必要だった。これは、いずれ必要な練習だったので、ある意味いい機会だった。


アンダーでのトス連もちょっと安定してきた(?)ころ、薬指が回復したのでいよいよオーバーパス復活。


さあ、ここから、本当のラストスパート!


セッターの基本で最も重要なことは、とにかくレシーブで上がったボールの落下地点にいち早く入ること。アタッカーに正対すること。これが、なかなか出来なくて。今でも。頭では分かってるんですよ…分かってるけど、体がついていかないの笑


セッター歴ゼロの私が、唯一ちょっとだけ自信があるのは、まさかのバックトスとツーアタック(ほんとにちょっとだけ。他があまりにも出来ないから…)。

技術も策略も持ち合わせず、ただアタッカーに普通あのトスを上げることが精一杯だった私が、ライトセミにチョンとバックトスを上げて、少しでも相手のブロックを振る。繰り返せば相手もすぐ対応してくるんだけど。バックトスは、小学生の頃の部活で鬼のようにやった。30年以上経った今でも、覚えてるもんだね。


そんなこんなで試合まであと1週間、3校で練習試合をした。試合さながらの熱気。本番じゃ無いのに、どこも負けられない気迫が凄かった。


ゲーム中のテンションも高いし、いつも以上にボールを追いかける。勢いは相手に負けてない。トスワークやアタック決定率も悪く無い。なんだかゾクゾクした。



そんな中、3度目の悲劇。



サーブレシーブが乱れ、ライトアタッカーがセンターに向けて二段トスを上げてきた。ラストボールを私が返そうとした瞬間、ハーフセンターもボールに向かって突っ込んできた。


お互いの右足が交差し、私の足の甲が縦方向にひっくり返った。。。


グニャ。


え…


ボールはまだ落ちてない、立たなきゃ…


何事もなかったかのように、今は続行しないと。

このタイミングで、もう怪我なんか本当にありえないから。


だめだ、…立てない。。


みんな、ごめん。またやったかも。。ごめん。


もう、誰の顔も見れなかった。


続く