昔、昔、ずっと昔…
空の上では子供達が天使と一緒に暮らしていました。
一日に一回、子供達は静かにテーブルの前に座りました。
テーブルには金色のお皿と金色のコップを並べました。
そうして青い服をきた主人がやってくると、その主人は子供達の金色のお皿にお星様のパンをのせて、金色のコップにお星様のジュースを入れてくれました。こうして子供達は元気に暮らしていました。

ある日の事、一人の子供がお城の外に天使と出ていきました。空の上をずっと歩いていくと、雲の間から下の方が見えました。ずっーと下の方に、優しそうな女の人と男の人が歩いていました。
それを見た子供は天使に、
"私はあの人達の所に行きたい"といいました。

それを聞いた天使は子供と一緒に、たくさんのお星様の柱を通って、お日様の柱を通って、お月様の柱を通って、虹の橋の所まで来ました。
そこで天使は子供に、
"さあ、あなたは空のお家の洋服を脱ぐんですよ。
この洋服はあなたがまたここに戻ってくるまで持っていてあげるわ。"
と言いました。
子供が空のお家の洋服を脱ぐと今度は天使が、
"あなたにお月様の銀色とお日様の金色の糸で創った洋服を着せてあげましょう。"
と言いました。
子供はその洋服を着ると急に眠たくなりました。
ちょうどその頃、下の地球では子供が見たあの女の人と男の人が、
"私達の所に子供がやってくる"と話をしていました。
そして二人は子供がやってくるその日を楽しみに待っていました。
やがて子供が目を覚ますと、目の前にはお空の上で見たお母さんとお父さんが笑顔で嬉しそうに側にいてくれました。
お母さんとお父さんは子供に名前をつけてくれました。

♪喜び星ひかり
こどもが生まれた
天使に見守られ
地球にやってきた♪

♪お日様 月 星
こどもが生まれた
その子は今ここに
ララララララ
ララララララ♪


私は清らかな空の高みから光に導かれて降りてきました
この大地でしっかりと生きるために
生にせよ、死にせよ、僕は恐れていないよ、リラ・マイ・リラ。そしてここへ来たことも後悔していない。
僕は満足だ。


~以下中略~


ランゲマルクやベルタンの『赤い雨』が黄金色の収穫をもたらしたときーそれは一部の者が愚かにも考えているように一年か二年のうちではなく、今撒いた種が発芽して大きくなるには一世代はかかるだろうがーカナダばかりでなく世界の将来のためにも、夢を描く者がいなかったら、働く者たちにとって働く目的がなくなるわけだからね。
そうだ、僕は来てよかったと思うよ、リラ。
危機に瀕しているのは僕の愛する海から生まれた小さな島の運命ばかりではない、カナダや英国の運命ばかりでもない。
人類の運命なのだ。
そのためにわれわれは闘っているのだ。
そしてわれわれは勝つだろうーそのことは一瞬たりとも疑ってはならないよ、リラ。
なぜなら、闘っているのは生きている者ばかりではないー死んだ者たちも闘っているからだ。そのような軍勢を負かすことはできないのだ。
君の顔にはまだ笑いがあるだろうか、リラ?
あるようにと願っている。この先の何年かは今までにもまして笑いと勇気を必要とするだろう。


~以下中略~


そしてやがて君に長い幸運な年月が訪れるだろうーその理念はそのために死ななければならないと同時に、そのために生きなければならないこと、そうでないとそのために払った犠牲が無駄になるということを子供達に教えてくれたまえ。
これは君の役目の一部だよ、リラ。
もし君がー故郷の娘すべてがーそうしてくれるなら、われわれ戻らない者は君たちがわれわれに対して『誓い』を破らなかったことを知るだろう。


~以下中略~


「誓いは守ってよ、ウォルター」
リラはしっかりした声で言った。
「あたしは働きー教えー学びー笑いましょう。ええ、笑ってだってみせるわー一生ね。
あなたのために、それからあなたが呼び声に従って行ったとき与えたもののために」




"アンの娘リラ"ー第十赤毛のアンー第二十三章より