1/30(日)
D10
36.18
この日は夜9時ちょうどにhCG10000を打つことになっていました。
HCGはまず、排卵を促します。
打つのが早すぎると、採卵の時にすでに排卵していて採卵できません。
そして、卵胞を成熟させる効果も持っています。
成熟卵が採れるか採れないか、それはその後の受精率、妊娠へとつながっていくので、とても大切な注射です。
前日にクリニックを出た後すぐに地元の病院へ電話。
『日曜の夜9時ちょうどですが、大丈夫ですか?』と聞くと、受付の方は『お産などで対応が遅れるといけないので、家を出る時にも電話をしてきてください』と言ってくださいました。
当日、8時35分に電話。
45分には到着。
インターホンを押して中にいれてもらいました。
バタバタと年配の看護師さんが登場。
『お手紙は持ってこられました?』
『はい、注射も持ってきています』と答えましたが、処置室の中からピーピーという機械音が鳴っているのが気になってか、『そこで待っててください』とドアを閉められました。
まだ10分以上もあるし、機械のピーピー音の方を優先したいのだろうと思いました。
そのあと若い看護師さんが『すみません、トイレに行ってました。』と中に入っていきました。
しばらくしてようやくピーピー音がやみました。
53分くらいになって、まだかなぁと気になり、聞き耳を立てました(^_^;)
『10000って書いてあるけど、これでいいんじゃない?これでいいが。これ、何で溶かせばいいの?』と聴こえてきました。
注射のことだとすぐにわかって、勝手にドアを開けて入りました。
すると、すでに注射の液の準備をされていました。
でもまだこの時点では、さっき『注射を持ってきています』と声をかけたのが耳に入っていなかったんだ、とりあえず打ってもらって、持参している私の注射液と交換してもらえばいいと思いました。
すると思いがけない言葉が。
『もう作っちゃった。うちは3000単位しかないから、3つ開けて9000単位で打ちますね。
次そちらの病院へ行かれた時に、持参された分は返してください。』
気が動転しました。
10000単位なのは、クリニックの先生が決めたこと。
hCGの成熟に対する効果や採卵時間を考慮してあるはず。
そのまま9000単位を打つことは、納得できませんでした。
仕方ないという感じで、この病院の先生に電話されました。
その間、外で待つよう言われました。
『10000単位って書いてあるけど、うちのを開けて9000で作ってしまったんですよ。
このまま9000を打とうと思うのですが。
10000単位を持参されてます。
え、いいんですか。
わかりました。』と電話がおわったようでした.
ここの先生がそのまま9000単位で打つよう指示していたらどうしよう、時間ももう58分ぐらいで気が動転していました。
勝手にドアを開けて入り、『どうなりましたか?』と聞くと、『持参された分を打ちます。』と言われ、ホッとしました。
すぐに作ってくださり、ベッドに横になりました。
これならギリギリ9時ちょうどだから大丈夫だと身体の力が抜けました。
『どこに打ちますか?え、お尻?私お尻苦手だから・・・』と何やらもめている。
私、hCGはお尻以外に打ったことがないんです。
肩でもいいんだろうけど。
気が動転していたので、肩に打ってと言うことができませんでした。
もう一人の年配の看護師さんに代わることになりました。
でも、この方も慣れていなくて、『腰骨はここですよね?』『はい、そこです。』というやりとりを3回繰り返しました。
しまいには、『いつも打つのはどの辺ですか?この辺?この辺で大丈夫?』
早くしてと言いたかったけど、慣れていないのに焦らせて失敗されてはどうにもならないので耐えました。
打ち終わった直後、若い方の看護師さんが『持ってこられたのを打ちましたからね』と10000単位のアンプルを見せてくれました。
打ってもらって目の前の時計を見たら、9時4分をまわっていました。
『9時5分か6分だったらアウト』だと言われたことで頭がいっぱいになり、放心状態でした。
そこの病院でつくってしまった9000単位の分は、『お支払いさせてください。』と言いましたが、『先生がいいっておっしゃったから、気にしなくていいのよ、大丈夫よ』と言っていただきました。
心の中では、注射を持ってきてますって言ったのに。と悔しくなりました。
聞いていなかったのはしかたないけど。
外で待つように言われても、もっと早く勝手に中に入れば良かった。
もっと早く行けば、間に合ったんじゃないかと自分を責めました。
病院間での注射のやりとりを私が橋渡しをするのは難しいことだと思いました。
特に、時間指定があるものについては、取り返しがつきません。
そして、9000単位を打たれた後では、それもまた取り返しがつかないところでした。
依頼書には『PM9:00(21:00) HCG10000 in 1A筋注』と書いてあり、時間には赤ペンで波線がひいてありました。
なんのための注射なのかということを理解していなければ、数分の違いなんて気にしなくて当然なのかもしれない。
この病院は体外受精もしているから、HCGもしょっちゅう打つはずだし、普通の産婦人科に行くより安心だと思っていました。
前の病院で10秒前から看護師さんが声を出しながらカウントダウンしていたのが当たり前の姿だと思っていました。
まさか、よりによってこんな大事な時に、お尻の注射が打てない看護師さん2人に対応されるなんて。
9000単位ではなく、10000単位を打ってもらえたことだけが救いです。
車で待っていたダーリンは、私が泣きながら戻ってきたことに驚いていました。
『9時2、3分が限界。5,6分だっただアウト。』というクリニックの看護師さんの言葉を思い出して、不安で不安でたまらず、気が動転していて、言葉がでてきませんでした。
ダーリンは『明日一番にクリニックに電話しよう。先生たちがなんとかしてくれるから。』と少しでも安心させようとしてくれました。
帰ってからも放心状態で、口がきけませんでした。
不安から動悸も激しくなって、それ自体が卵に良くないとわかっているだけに余計焦って眠れませんでした。