イノシシが木の幹で牙をといでいると、そこにキツネが通りかかりました。キツネはどうして牙をといでいるのか不思議に思いました。
「どうしてそんなことをしているんだい? 近くに猟師がいるわけでも、猟犬がいるわけでもないし、危険が迫っているようにも見えないけど」とキツネは言いました。
「確かにね」とイノシシは答えました。「でも、本当に危険になった時には、牙をといでる暇はなくなるからな」
――イソップ
イノシシが木の幹で牙をといでいると、そこにキツネが通りかかりました。キツネはどうして牙をといでいるのか不思議に思いました。
「どうしてそんなことをしているんだい? 近くに猟師がいるわけでも、猟犬がいるわけでもないし、危険が迫っているようにも見えないけど」とキツネは言いました。
「確かにね」とイノシシは答えました。「でも、本当に危険になった時には、牙をといでる暇はなくなるからな」
――イソップ
その地方の人々は飢えと戦争の被害ですっかり疲れはてていました。それなのに、ある農家では5人の息子がケンカばかりしていました。
ある日のこと、父親はもう放っておけないと思い、息子たちにこう言いました。
「おまえたち、いったいどういうつもりだ?家の外では戦争の傷や飢えで人が死んでいるというのに、どうして家の中まで惨めにするんだ?」
そこで父親はいいことを思いつきました。「棒の束をもってこい」と父親は長男に命じました。
長男が棒を集めてくると、父親はそれを全部折ってみろと言いました。
長男は言われたとうりにしましたが、棒の束は折れませんでした。
そこで父親は二番目の息子に同じことを命じましたが、やっぱり折れません。
三番目の息子もためしてみましたが、やっぱり失敗しました。
最後に、いちばん賢い末っ子の息子の番になりました。末っ子の息子は棒の束をほどくと、そこから一本だけ抜き取ってこう言いました。
「お父さん。なぜ棒の束を追ってみろと言うのか、ようやくわかりました。ぼくらがいつもケンカばかりしてばらばらだと、一本の棒のようにかんたんに折れてしまうということなんですね」そう言うと、末っ子は棒を二つに折ってしまいました。
「でも、この棒の束のようにぴったりと寄り集まっていれば強いんですね。団結していれば、敵の攻撃にもたえられるということなんですね」
父親は末っ子の息子の賢さに驚き、ほかの兄弟たちに弟の話をしっかり理解するんだぞと言いました。
――イソップ