【追記】一般非公開にしたのちの新規アメンバー拒否につき、この記事のみ全体公開に戻します。2014年時点での治療記録です。個体による差異はあります。ご自身の治療については担当医師にお訊ね下さい。(2018.5.22再編)
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股関節唇損傷の治療記録<投薬・注射編>
股関節唇損傷の治療記録<リハビリ編>①
股関節唇損傷の治療記録<リハビリ編>②
に続き、診断・手術編です。
《お願い》
私自身、紆余曲折しながら寛解に至り、病気のくくりとしては一緒でも、男女で大きく違いがあるように一人一人骨格・病状・痛みは違い、医療機関も当然いくつもあり、どこでも全く同じ治療とは限らず、同じ治療を受けても明暗が分かれる時もあります。
ご自身の病状について質問頂いても、お答えしかねますので、一事例としてみるに留めて下さい。
先の3件の病院(股関節外来)までは正確な診断は下らず。
<それまでの診断ポイント>
・レントゲンで股関節疾患を疑う、骨壊死や変形がない。
・臼蓋と骨頭の隙間は保たれている。
・MRIで特に炎症や変成部位を確認できない。(実際には写っていた)
・症状の訴えから疑問点はあるが、結びつく症例がない。
4件目での診断
・リハビリを継続しても改善がみられない。
・可動域(屈曲外旋)が悪すぎる
→炎症がある
→股関節唇損傷の疑い
→専門医紹介(スポーツ整形)
5件目での診断
先の病院で撮影したMRIを持参。
・MRIで僅かに白い(炎症)部分がある
→股関節唇損傷の疑い
→レントゲン撮影

・レントゲンで※FAI(pincerとcam両方)を認める
→FAIによる股関節唇損傷の疑いが濃厚。
※FAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)とは…femoroacetabularimpingement略してFAIは、成長期に骨の成長線にかかったストレスから出来た骨棘(膨隆)による、特定方向での挟み込み・衝突を意味するもので、臼蓋の骨棘はpincer、大腿骨のはcamと呼び、pincer またはcam、あるいはその両方により、大腿骨と臼蓋の骨(関節)が挟み込み・衝突(impingement)することで関節に変形を生む原因となる骨形態異常をいいます。
impingementシュミレーション動画 https://youtu.be/qzEkZXNRpvA
・pincer(クロスオーバーサイン)が大きく、経過が長いことから要手術である。(リハビリでの改善は見込めない)
※クロスオーバーサイン
<参考>スポーツ整形外科医S. Uのブログ
股関節インピンジメント(FAI)の典型的な単純レントゲン所見 PINCER編
http://blog.livedoor.jp/soshi_sports/archives/726397.html
私の下手な絵で説明します。
大まかに臼蓋(右)と大腿骨(左)と関節唇(間)関節包(上下)
注)股関節を正面から表現したものです。
①右の1度目の術前診断
・レントゲンから正常範囲より骨が出ている。(上図:黒い部分)
・造影MRIで関節唇が1時
の方向に断裂している。
・関節ブロック注射で除痛できる。(関節内に炎症がある)
・股関節屈曲(衝突動作)で顕著に痛みがある。(内旋低下)
(前方インピンジメントテスト)
・股関節屈曲外旋(パトリックテスト)で膝位置が高い。(外旋制限)
<参考:Patrick(FABER)Test>
これらにより手術が妥当と診断。
これ以外にも経過やリハビリでの改善具合などで総合的に判断されますが、最後に決断するのは自分です。医師任せではなく、材料をもとに納得のいく決断をしましょう。
[手術内容]
・pincer(膨隆した骨棘)部分から関節唇を剥離しpincerを削る
・剥がした関節唇を断裂部分含め臼蓋へアンカーで留める(縫合)
・cam(膨隆した骨棘)を削る




<関連記事>股関節唇修復術※写真解説あり
※関節唇切除は不安定症や変形性股関節症への進行のリスクが懸念されており、縫合または再建が望ましいとされています。
②左股関節1度目の術前診断
・レントゲンでcamを確認
・関節ブロック注射で除痛できるが一時的
・股関節屈曲(衝突動作)で顕著に痛みがある
・股関節屈曲外旋で膝がべッドと並行にならない(外旋制限)
・QOLの低下が顕著
[手術内容]
・関節唇を臼蓋にアンカーで留める(縫合)
・camを削る




③左股関節2度目の術前診断
・術後半年のリハビリでQOLが変わらなかった。
・ブロック注射で除痛できても一時的。
・重度の癒着が濃厚。詳細は→<過去記事:4本目>
・診断を結論付けるにも※内視鏡検査(手術)が必要。
※原因不明の場合は関節鏡で内部をみることもあります。病変がわかれば処置しますが、何もせず閉じることもあります。
[手術内容]
・関節包が大腿骨と関節唇に癒着しており剥離(下図:赤い部分)
・camを削る

※図説 臼蓋から骨頭を包んでる膜の内側(関節内)の癒着(関節鏡挿入位置)


写真解説はここ→<過去記事:またまた>
④右股関節2度目の術前診断


・CTから下前腸骨棘インピンジメントを認める(pincer残存)
・cam残存の疑い(術中に最終確認)
・関節包が緩い→1度目の手術で未縫合が関係か
(関節の隙間が開き過ぎによる不安定症)
・MRIから関節唇断裂がみてとれる
・下前腸骨棘に圧痛
・注射で除痛するも一時的
・屈曲90度以上の内回旋で痛みがある(前方インピンジメントテスト)
※股関節を軸に屈曲した膝を時計回りと反時計回りに回す。
・外旋制限がある(パトリックテスト)
・出力がない(痛みにより力が入らない)
<参考:股関節唇損傷とはWhat is acetabular labral tear?>

[手術内容]
・前回縫合箇所の一部が再断裂。関節唇を剥離し残存してるpincerを削る
・アンカー用の穴を開け直し、関節唇を臼蓋へ留める(縫合)
・残存したcamを削る
・関節包の縫合(縫合しなくても癒合するが不安定症予防で縫い縮める)
・PRPを注射(左右)※股関節へのPRP



⑤左股関節3度目の術前診断

・CTから下前腸骨棘インピンジメントを認める。(pincer残存)
・下前腸骨棘に圧痛。
・注射で除痛するも一時的。
・屈曲内外旋(特に内旋)で痛みがある。(前方インピンジメントテスト)
・外旋制限がある。(パトリックテスト)
・慢性的な疼痛がある。
[手術内容]
・関節包から関節唇を剥離。(前回同様の癒着)
・臼蓋から関節唇を剥離し残存してるpincerを削る
・アンカー用の穴を開け直し、関節唇を臼蓋へ留める。(縫合)


【まとめ】
下前腸骨棘インピンジメント(pincer)が残存している場合、股関節唇の再損傷や癒着を誘引する為、骨棘(pincer及びcam)の完全除去が課題。
疼痛を除痛するには手術による完全な原因の除去が有効。(骨棘切除によるimpingementの解消)
痛みに応じて除痛、リハビリ。退院後の生活はよくよく注意する。
術後3ヶ月(関節唇の癒合、骨形成など修復に要する期間)は無理厳禁。
<治癒進行>
1.傷口皮膚表面…約1週間
2.筋肉、軟骨…約1ヶ月(細胞組織の修復で筋力の回復とは別)
3.骨表面、抹消神経…約2ヶ月
<術後2ヶ月までの制限事項>
1.外旋禁止(脱臼・再損傷リスク回避)
2.90度以上の屈曲姿勢(長時間の座位)
3.状態・術式により免荷
《股関節唇損傷の注意点》
・内旋禁止(脚組み・横座り・お姉さん座りで関節唇を損傷・刺激)
・洋式の生活へ(和式を避ける)
・猫背厳禁
・重い物を持たない(感覚で米10kgはNG、無理して5kgが限界)
・砂利道やハイヒールでの不安定歩行は関節・筋肉に負担増
・長時間の立位、座位、歩行は関節・筋肉に負担増
(10分単位での休憩、体位変更に努める。術後3ヶ月は特に癒着誘引に直結する原因に)
・運動の目的とその効果が一致している。
(患部の痛みの増大、代償運動を気を付ける)
整形外科疾患に対する喫煙の影響
http://www.nosmoke-ed.org/ronbun_seikeigeka_shikkan_eikyou
《参考》
FAIの診断基準
造影MR像における股関節唇損傷の分類 チェルニー分類
股関節唇損傷の原因は大腿骨寛骨臼インピンジメントが一番多い
股関節鏡視下手術術後リハビリテーションプロトコール
《関連記事》
股関節唇損傷 闘病まとめ
股関節唇損傷と診断されたら
膨隆not骨棘
術前、術後
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