前回は、AM放送の場合、1送信施設でカバーできる放送範囲を、FM放送に切り替えると、複数の送信施設が必要となってしまうというお話しでした
今回は、FM放送に切り替えた場合の「カバー率」について見ていきます
先に、総務省のWebサイトを見ることにします
ワイドFM?
それは、AMが良い音で聴けるFM放送。
ラジオの音質は、どの電波で聴いても変わらないと思っていませんか?じつは、FM電波の方がノイズが入りにくく、よりクリアな音でラジオを楽しむことができるのです。
FM電波で、AM放送が聴ける。そんな魔法のようなラジオが、ワイドFM。ビルやマンション、山間部でも。ワイドFMなら、いままで聴こえづらかった場所まで、ラジオにとってベストな環境に変えてしまいます。ラジオ好きにうれしいこのニュース。あの人にも、どうぞ教えてあげてください。あの人に、もっと良い音を。
ワイドFMの特徴
臨場感あふれるFMステレオ放送! FMの電波だから、音がクリア! 高いビルやマンションでも聴ける!
1 ビルに囲まれた場所でも 建築物の影響で受信環境が悪くても大丈夫
2 海外電波からの混信回避も! 海外電波と異なるFM電波で改善
3 放送局が遠い山間部でも 電波が届きにくい地域の受信環境を改善
4 海岸部の、災害時でも! アンテナが高い場所にあるから安全
ワイドFM(FM補完放送)とは
ワイドFM(FM補完放送)とは、AM 放送局の放送エリアにおいて、難聴対策や災害対策のために、新たにFM 放送用として使用可能とした周波数(90.0~94.9MHz)を加えたFM放送用の周波数(76.1~94.9MHz)によりAM放送の放送番組を放送するものです。
総務省では、平成26年4月1日に、AM放送の難聴(都市型難聴、外国波混信、地理的・地形的難聴)対策や災害対策を目的として、FM補完中継局(AMラジオ放送を補完するFM中継局)の開設を可能とするための制度整備(「基幹放送用周波数使用計画」の変更等)を実施しました。
総務省では、FM補完中継局の整備等を推進するため、以下の支援策を実施しています。
(1)民放ラジオ難聴解消支援事業→上記(1)(2)(3)が対象
(2)放送ネットワーク整備支援事業(地上基幹放送ネットワーク整備事業)→上記(4)が対象
※ワイドFMを聴取するには、ワイドFMの周波数(90.0~94.9MHz)に対応したラジオが必要です。
総務省では、ワイドFMを放送するためのFM補完中継局の整備等を推進するため、様々な支援策に取り組んでいます。
ご覧のとおり、民間AM放送各局ならわかりますが、日本国までもがFM放送のメリットを前面に出し、支援策として税金を使ってFM放送への切り替えを進めております。
SEIも当初、FM放送への切り替えは、電波の種類「AM」か「FM」かの違いだけと思ってました
あえて一言不満を言うなら、「FM補完放送を受信できるラジオがない!」ことくらいで・・・
(古いラジオを好んでいるためですが)
だけど、ローカル放送局の送信施設をまとめているなかで、「カバー率」という言葉が出たことでSEIの認識が変わりました
📡
<SEIの認識
カバー率
AM放送がカバーしている放送範囲を100%とした場合、FM補完放送がカバーできる範囲
AM放送の放送範囲:100%
FM補完放送の放送範囲:100%
AM放送から、FM放送に切り替えても、何ら問題は無い
さて、実際は・・・
ローカル放送局における「カバー率」を調べて見ます
宮城県の「東北放送」の場合
「東北放送」のFM補完放送は、本社構内にある鉄塔から送信しております(前回の記事を見てね)
では、「カバー率」を見てみます
AM放送は、宮城県全域の他、秋田・岩手・山形・福島の一部も放送範囲になってます
が
FM補完放送になりますと、福島県の一部が含まれているものの、肝心の宮城県全域をカバーしておりません
福島県の「ラジオ福島」の場合
「ラジオ福島」のFM補完放送は、中継局が各地域に多数点在しております(前回の記事を見てね)
では、「カバー率」を見てみます
「東北放送」と違って、AM放送の放送範囲と、FM補完放送の放送範囲がはっきりわかりませんが、FM補完放送の放送範囲をピンクで塗りつぶした範囲と仮定しますと、市町村の一部と、一部の町村全域がカバーされておりません
それにしても様式が統一されていないと、作る方の性格が出てきますね
東北放送の地図が見やすいと思うのはSEIだけでしょうか
余談でした
公共の電波です!
本来なら、日本国内全てに電波が行き渡るよう取り組むはずの日本国が、FM放送のメリットだけを前面に出し、あたかもAM放送を続けるより、FM放送に切り替えた方が国民にもメリットがあるかのように広報活動を行っているのです
そして、税金を使ってまでFM放送への切り替えを進めているのです
👩🏫
ここで、ちょっとお勉強
電波の飛び方についてわかりやすくまとめられたサイトがありましたのでご紹介します
このサイトでは、4パターンで電波の飛び方と言いますか、受信感度を絵でわかりやすく解説してあります
パターン1
高い位置からFM放送の電波を送信した場合
パターン2
パターン1に中継局を設置した場合
パターン3
コミュニティーFM放送の場合
パターン4
AM放送の場合
<<あおもりくま ラジオ研究所>>
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Level 1-2 ラジオ放送と電波特性 AMとFMの違い(青森版)
このサイトで押さえておきたいキーワードがこちら
AMとFMの大きな違いは電波の飛び方にある!
AMは障害物をすり抜けたり、乗り越えたり。
FMは障害物にぶつかると反射したり遮られたりする。
FM放送のまとめでは
青森のように経済圏が山などで区切られている場合、となりの経済圏には多かれ少なかれ電波が遮られるため、経済圏をカバーできるだけの中出力の送信設備が点在する。
AM放送のまとめでは
関東平野などの非常に広範囲の平野部では超大出力の送信所がある
夜になると地方にも電波がバンバン飛んでくる。
推らく隣国にも煩い(うるさい)ほど飛んでいるであろうと思われる。
🗼
FM放送の場合、アンテナから見える範囲しか電波が届かない
だけど
AM放送の場合、(夜間限定ですが)送信出力の高い関東のAMラジオ放送が、青森でも聴くことが出来るくらい、地形に左右されず、電波が届くということ
青森県内のAMラジオ放送であれば、県内では問題無くラジオを聴くことが出来るのです
しかし、国をあげてFM放送への切り替えを進めているのです!
確かにFM放送は、電波が届く範囲が最大100キロ程度と狭い分、送信施設が小規模かつ維持も低コストで済むため、海外でもドイツやフランスで、コスト面からAM波からFM波への切り替えが進んでいるそうですが、単純に海外と比較するのは適切ではないと思います
日本の国土「2/3」が森林です
FM放送で使われる「VHF帯」は、山影など電波が届きにくいため、山間部の多い地域では中継局を沢山作らなければななりません
と考えると、日本の地形からも、AM放送の方が理にかなっていると思います
ただ、AM放送の場合、アンテナの高さが周波数で決まってしまうため、FM放送のように送信施設を小規模にすることは出来ません
また、FM放送の最大送信出力が10kWと低いのに対し、AM放送の場合、50KW・100KWと大規模になっていることもあり、ものすごい電力消費量となりますよね
やはり、どうしてもFM放送と違ってAM放送になると、送信施設も・送信出力も大規模になってしまうのかな?
では、送信アンテナは何年使用できるかと、AM放送の送信出力について調べて見ます
続きはまた
この記事は、SEIが自分なりに調べた内容と、勝手に解釈した内容で記載しております。
内容に誤りや、誤認識等あると思いますので、あくまでも個人的な記事として見ていただくか、間違え等お教えいただければありがたいです。