想像力の射程

想像力の射程

射程を10年後に

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初めて担当する国際農業経済論の最初の講義は10月31日。私の都合で講義日程が不規則になっている。11月は当初予定していたカレン族関連の調査が延期になったことから、まる一ヶ月空白になった。今度の講義は12月5日から毎週木曜に二コマ3時間の講義が続く。

講義は本来様々な貿易等の制度論を中心にこれまで授業が行われてきたと聞いているが、私の場合は基本的に検索可能な内容は扱わず、技術協力現場で見えたリアルな地域農業と国際協力の実態等を

徹底して批判検証する形で講義する。もちろん私自身の業務に関しても批判、検証の視点から自己評価した内容である。

一回目はJORDANの「ファミリープランニングプロジェクト」における農業経済に係る支援の意味についての講義の予定だったが、10月のパキスタンでのワークショップの話と発達障害の話と言う全く想定していなかった内容で終わってしまい、何をどこまで伝えたかも忘れてしまっている。

二回目の今回は、栽培農業発祥の地と言われるヨルダン川とDead Sea(死海)とヨルダンの化成肥料生産についての講義を予定している。そしてできればアフリカのマラウイでの日本による支援の反省事例となった灌漑稲作に関する講義までやりたいと想定はしている。

三回目からは東ティモール、再度パキスタン、ブラジル等の農業エネルギー関連の講義を予定している。

試験についてはまだどうするか決めていないが、「想像力」がキーワード。

 

 最近の台風被害等における農業関連被害について総額2000億円を超えるとされており、今後も気候変動による様々な被害が想定できるし、その被害規模も大きくなるだろうという事は想像できる。

 こうした被害について政府は共済保険等でカバーできない生産者の再生産支援を検討しているが、その一つに浸水被害等にあった農業機械の購入支援を行う事を検討しているとされている。しかし、その際の条件に共同化や一定の規模以上等の条件が付いている場合が多い。

 これまでも「農家は何故高価な機械を共同で購入しないのか?という事を指摘されていた。これは政治の場でも与野党問わず指摘されていた。しかし、こうした指摘は、例えば稲作の近年の栽培状況を正確に認識した発言ではないと言わざるを得ない。

 農業者に対しては、競争力のある高品質な付加価値の高い農産物生産にもっと努力すべきである。という言説が正論の様に言われることがある。しかし現実は、美味しく安全なコメを手頃な価格で生産するよう求められる結果、ブランド化による競争力の強化が優先される。当然栽培品種の限定化などによりブランド米等への品種の集中が進んでいる。結果、限られた時期に育苗開始や作付け収穫時期が集中する。しかも適期は短期間である。したがって農業機械もその時期に使用が集中する事になる。

 単純に農業機械を共同購入すれば負担が減少するではないか、と言う面でだけの対応では生産の持続性が保てないのです。作業時期は農産物の味にも大きく影響する。

 さらには兼業農家も多く、作業は休日に集中する。また、米の収穫などは天候次第のところもあり、晴れた日でないと収穫できない事から、共同購入機械だと適期に収穫が難しくなり品質低下にもつながる。大型機械を共同購入だけでは対策は難しいのです。また「一年に数週間しか使わない機械なのに」という指摘も適切ではない。農業生産とはそういう集中型作業による生業なのです。

 結論ですが、支援策もこうした点に十分に配慮し、小規模単独購入に対する支援も行うべきであり、さらには食糧生産安全保障等の観点からも多品種栽培等による全体の栽培期間の長期化を図る事で、効率的な機械化を進める研究を実施すべきだろう。 

 

 

 ダムは有効か?となると、最近の日本の状況からは洪水対策として有効なのかと問われているわけですが、有効だと言えないことは明白である。明らかになったようにダムの貯水量には限界があり、その貯水可能量も全く不十分なのです。それよりも多くのダム建設時の目的の主たるものは水資源確保だったのです。洪水等の防災や減災は、水資源は不足しないなどの検証結果が示された後に、とってつけた建設目的だったものが多いのです。

 一方渇水時には、ダムは唯一の効果的な防御手段として機能しているのです。これまでも多くのダムで少雨による渇水でダム湖の水位が下がり、枯渇したダムもあるが、多くのダムではぎりぎりで持ちこたえ最悪の状態を回避してきているのです。

 私の答えは渇水には有効だが洪水には有効とは言えないです。

 2010年から6年間のブラジルでの農業開発の業務中、継続的に干ばつに見舞われ、利用していた2800万㎥のダム湖は枯渇し、住民は飲み水を軍の給水車に頼り、栽培農業はほぼ不可能であった。この時の調査で判明した事は、干ばつに見舞われた地域では凡そ5億㎥以上の貯水量以上のダムはかろうじて枯渇することは免れたという事である。

 5年間も継続した旱魃ではあるが、気候変動が激しくなった現代においては、またブラジルの東北部においては今後も想定せざるを得ない事態だという事です。

 したがって、これまで大規模ダム開発は環境負荷が大きい等基本的には開発手法としては疑問視されてきたものではあるが、アマゾン熱帯雨林周辺部カーチンガ植生を守るためには、ダム建設手法の研究が欠かせないと考える。

栽培農業にしか利用されてこなかったダム湖水資源をセラード低灌木植生保護と砂漠化防止への有効利用を検討すべきであると考える。

 大型地下ダム等気候変動対応型ダムの研究も必要です。これだけ激しくなった気候変動の影響を考えると、ダムの在り方は再考せざるを得ない時代になっている。

 

 ビジネスに正解はないのです。ということで、この犇めくネットを通じた取引から離れてみることもこれからのチャンスにつながるかもしれない。実は今年実証してみました。情報収集にはインターネットを使うが、取引に関するすべての事(確認の為のメールを除き)を郵便と電話でやってみたのです。

 パンフレットを作り、郵送し、電話で連絡し営業交渉を行ったのです。メールに慣れた現代のビジネスでは、対面や電話での交渉はストレスを感じる者が多いのです。しかし、一方で初対面のバイヤー等と会い、顔を見ながら、声を聴きながらの交渉は実に刺激的な結果をもたらしたと言えます。実に早く進むのです!

 200枚のパンフレットを6ヶ国のバイヤーに郵送。4社から問い合わせがあり、電話で交渉。今年は2社と取引が成立。他2社はオーダーユニットが大き過ぎたために、来年の契約を目指した。

 具体的なビジネスを説明します。舞台はパキスタンと東南アジア各国。パキスタンの柿(渋抜き)の東南アジアへの輸出です。

事前のマーケットリサーチとパンフレット発送を日本の私が行い、輸出入に関する交渉はパキスタンの業者が行った。今年は11月中旬まで続く。

 輸出用事業の初期投資は僅か50万円程。もちろんあえて輸出から始めたのには理由があります。

 何が重要かと言うと、まだ誰もやっていなかったビジネスを見つけた事である。しかもまだまだそれはあるのです。

 日本でネットビジネスに勝ち抜くのも選択です。でも世界にはまだまだチャンスはあるのです。でもそれにはパソコンと向かい合っていても見つけることは至難の業です。

 可能な限りデバイスを使わず、出かけていき、人々と接し、感じ、可能性と問いを探すのです。どれほどネット上に多くの情報が溢れていても、それは単なる情報にすぎないのです。

若い方にはネットビジネスではなくリアルビジネスから始めることを私は提案する。

 アジアの大学からの訪問はよくある事である。

 先日私が講師をしている大学から、来年チェンマイ大学農学部博士課程の学生が研修で来るので、二つ講義を行ってほしいという要請を受けた。これまでも様々な研修が実施されてきた、博士課程の学生が大挙して訪問されることは珍しいことではあるが、何よりも、この研修に係る費用はすべてチェンマイ大学が負担しての事業なのです。これまではやはり日本政府や国際協力機関の予算で訪日されることがほとんどであった。まさに現下のアジアの成長を見る思いであるが、豊かになったアジアの人々が旅行と言う面でもお安くなった日本に押しかけている流れなのかな等と、失礼な想像をしてしまったのです。

 院生のレベルは日本より高いことは想像できる。今回は農民から見た農協組織と農村社会に関しソーシャルキャピタル論からの講義を準備する予定。