俗に言う、
"イケメン"な美容師さん。
彼には、
ぜんぶわかってる気がする。
優しい口調で
ちょっと待っててねって
髪を撫でていい香りを残していくの。
彼は。
ヘアアイロンを持ってくると
じゃ、今から可愛くしちゃうね
って言って、ていねいに
わたしの黒髪にツヤをだす。
彼は。
髪をゆるめにふわっと仕上げると
たまにはいいよね、
嫌いじゃないでしょ?
って鏡越しに言う。
可愛いじゃん?
て、髪を指先で触れながら言う。
彼は知っている。
これが大人なのかと。
わたしはただただ、
ミルクティーのストローに
助けを求めるばかりだった。
今もまだ、
風に髪がなびく度に
甘い香りが香る。