≪社会から脱出するリッチスタン≫

 

今、新富裕層のスーパーリッチスタンたちが逃避する準備を始めている。彼らは国内外に広大な農場を購入、廃棄された地下壕を購入することで、来たるべき恐怖に備えて財産を蓄えているという。彼らはいったい何に怯えているのだろうか?

 

「ギリシャ危機、非ユーロ圏の英国から見えるもの」より拝借

 

 

なぜ多くの新富裕層が、逃避の準備を始めているのだろうか?ヨーロッパのスーパーリッチスタンにはそれなりに理由がある。ギリシャの粉飾決算から生じた信用不安がヨーロッパ全域に拡大し、「金融危機」「経済不安」を引き起こしているからだ。

 

その解決に乗り込んだ「トロイカ」と呼ばれる「IMF(国際通貨基金)」「ヨーロッパ中央銀行」「ヨーロッパ委員会」の三大官僚機構が、さらなる問題を引き起こしている。彼らが乗り出したことで数百万もの失業者が新たに生み出され、さらに貧困層を拡大されているからだ。

 

トロイカはEU国家の枠を超える巨大官僚組織で、議会の承認を受ける必要がなく、報告する義務も負っていない。彼らは選挙で選ばれない官僚で構成された巨大組織で、国家の枠を超える存在である。トロイカ本来の目的は、経済破綻した国家を、莫大な金融支援により債務危機から脱出させ、経済成長を促すことにある。

 

 

ところが、彼らが支援したEU国家の公的債務は拡大する一方で、経済が好循環せず、逆に大量の失業者を生み出している。まるで、そうなることを目的とするかのようにも見える

 

絶大な権力を握る彼らは、経済破綻した国を訪れると、情け容赦なく医療費を含む公的サービスの大幅削減を要求し、結果として民衆を不安のどん底へ叩き落とし、やる気を失わせ、未来に希望を持てなくさせている。彼らは圧倒的な力で国家介入し、国民の希望を失わせ、国の建て直しに必要な頭脳流出を加速させる

 

銀行前に並ぶキプロス市民(2013年3月)

 

彼らのやり口は、ギリシャ一国に責任を負わせ、EU内で対立構造を煽り、ギリシャをスケープゴードにして敵対する構図を造り出す。例えば、トロイカは小国キプロスの銀行に預金されたキプロス住民の預金を一夜にしてギリシャの銀行に移し、キプロスのGDPの10%を喪失させてギリシャを悪者にした

 

恐るべきは、ギリシャのスーパーリッチ2000人余の脱税分(20億ユーロ)を調査するため、ギリシャ政府がスイスの海外預金口座を捜査しようとした際、IMFはその行為を禁止したのだ。

 

それだけではない、ギリシャの国有資産もトロイカが関与し、スーパーリッチに格安で売られ、転売で多額の収益を得させてギリシャ国民から資産を略奪させていた

 

マドリードでの10万人デモ

 

ポルトガルでも、トロイカが介入するや、労働者の賃金を問題として20%の賃金をカットを行い、労使協定の下で働く労働者を6%以下まで下げさせ、団体交渉の制度を完全に破壊した。結果、どうなったか?

 

トロイカが関与した国の底辺層は、収入を引き抜かれて生活苦に陥り、その分をスーパーリッチに贈る仕組みが固定化したことになる。

 

(参考)IMF専務理事 消費税は段階的に引き上げを(11/9)

IMF、「過労死」問題視 日本に残業の抑制を提言(11/23)

 

ECB(ヨーロッパ中央銀行)

 

一方、フランスとドイツがEUで勝ち組となり、財政も上向いてトロイカの成功例となっていく。これは最初から仕組まれたことで、既に債務超過だったギリシャに粉飾決算を指導したのが、世界最大の超弩級財閥ロスチャイルドだった。(転載終了)

 

「知らぜざる『1%寡頭権力の王国』リッチスタン:飛鳥昭雄著」より転載しました。(※D・ロックフェラー氏死去前に書かれています)

 

そよ風の誘惑・和訳付(1975年 オリビア・ニュートンジョン)