18日夕方5時くらいにロンドンのホテル到着。アトキンソンさんからのファクスが届いていました。19日午前10時に大英博物館で面会のアポイントが取れた、ということでした。アトキンソンさんに感謝。


 19日は雨模様で、英国最初の訪問地が大英博物館。地下鉄を出ると、雨の中、傘も差さずに歩いている人たちが多く、ふーん、文化の違いなのだな、と感心してしまいました。

 そう言えば、17日の御例祭の日、晴天の中、アトキンソンさんは、紳士らしい立派な傘を持参で東照宮を訪れていました。天気予報で関東地方は午後から雨と言っていたことで、傘を持参したとのこと。それに比べて、ロンドンではびしゃびしゃの雨の中を濡れても平気な人ばかり。この違いは何なのだ。

 
家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-大英博物館

 とりあえず、雨でなければこのように立派な大英博物館の玄関が見えたのでしょう。受付でトンプソンさんと約束している、と言い、しばらく待つとやってきました。展示コーナーから一般は入ることのできない通路へ向かい、階段を経て、迷路のような通路を抜けてトンプソンさんの研究室に入れてくれました。


家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-トンプソン

 このお方が、大英博物館時計部門責任者デービッド・トンプソン主任学芸員です。古い西洋時計に囲まれた大きな研究室自体が博物館の一部といったところでしょうか。

 いろいろお話して、わたしの懸念事項の取材、記者会見についてうかがうと、「もちろんOKです。テレビも来るのですか。おお、わたしもついにテレビスターになりますね」とおっしゃっていました。

 何と良い人なんだ。アトキンソンさんは多分、もったいつけていたのだろう。とてもフレンドリーで、大英博物館という「世界的な権威」といったものがとても信じられなくなりそうなお人柄でした。

 さて、その後、大英博物館所蔵の「世界で一番古い時計」まで案内してくれ、いろいろ説明してくれました。外は冷たい雨ですが、大英博物館の中は、とても温かい雰囲気でいっぱいでした。


家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-大英博物館1

 左側が1450年くらいに製作された機械式の時計。右はそのコピーです。1581年製作の「家康公の時計」と違うのは、当然、修理、部品交換などが数多くされ、世界最古と言っても、中身が違うことです。

 トンプソンさんとは約1ヶ月後、久能山東照宮で再び、お会いできることを楽しみにお別れしました。

 4月18日英国へ向けて出発の前日(17日)は、久能山東照宮御例祭(家康公の亡くなった日)が開かれました。

 その日まで、英国での別件交渉について、さまざまなやり取りをしてきました。今回もスペイン・マドリッドの関直美さんにいろいろお世話になり、相手との交渉準備を進めていただきました。本当に感謝しています。

 さて、大英博物館のデービッド・トンプソン主任学芸員については、アトキンソンさんからの情報では、「生魚が嫌い。寿司は出さないように」ということだけで、わたしのほうからの要望として、取材、記者会見等は受けてくれるのですか、という点については「大英博物館の許可が必要なので難しい」とのことでした。

 これでは、困ってしまう。とにかく、向こうで本人にお会いして、不明な点を確認しよう、ということで、アトキンソンさんに本人との面会を打診しました。「英国では表敬訪問など不要」という返事。実際は、もっと細かいことを詰めたいのですが、間に立っているアトキンソンの顔をつぶすことにもなりかねないので、「何とか面会をお願いします」と言ってきました。


 そうこう言っているうちに、何の段取りも出来ずに、17日の御例祭を迎え、そこにアトキンソンさんも出席するとのことで、慌ただしい中、御例祭にわたしも出席しました。

 今回の御例祭は、18代恒孝当主のご長男家広・徳川宗家19代予定者が初めて参列しました。

 
家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-家広1

 慣れない装束、履き物に手こずる徳川家広様


家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-家広2

それでもりりしい家康公を思わせる風貌の家広様


家康の時計-大英博物館、エルエスコリアルを結ぶ-柳営会
柳営会の方たちは外でテレビ画面で御例祭に参加する、大盛況。


 

とりあえず、無事に御例祭も終了、アトキンソンさんとも会うことができました。「それでは、宿泊するホテルのファクスを教えてください。そちらに、大英博物館への面会の日時をお知らせします」とのアトキンソンさんのお言葉でした。不安を胸に、向こうへ行けば何とかなる、と覚悟を決めました。

 2月1日付で大英博物館のデービッド・トプソン氏から、落合宮司宛に「とても忙しくて返事が遅れて申し訳ないが、そちらに行くことを楽しみにしている」という返事をもらいました。

 しかし、その後なしのつぶてで、いつ、久能山東照宮にお見えになるのか、なかなか回答がない状態が続いていました。何度かアトキンソンにメールしたのですが、アトキンソンさん自身も忙しく、3月初めにようやく「5月か6月に静岡に行きたい」という漠然とした返事をもらうことができました。


 わたしは、家康公顕彰400年記念事業の別件で忙しい対応に追われ、結局、その別件で、英国へ行かなければならないスケジュールを3月初めに決めました。となると、英国行きとの兼ね合いで、トンプソン氏の来訪をフィックスしてもらわなければなりません。

 落合宮司のスケジュールもあり、アトキンソンさんに5月14日から1週間から10日の日程で、こちらにお出でいただくよう要請してもらえるよう依頼しました。


 アトキンソンさんからの返事が来たのは、3月20日頃です。「5月14日の週に来ることが決まりました」。素っ気ないメールでしたが、本当にほっと安心しました。その喜びを落合宮司に伝えました。

 なかなか、その後、具体的なスケジュールは示されませんでした。

 3月23日夜。とりあえず、わたしは4月18日出発から27日帰国で英国行きの格安チケットを手配して、訪英の際、どこかで大英博物館でトンプソンさんにお会いできれば、と考えました。