『Woman』も第10話になり、そろそろ最終局面を迎える段になってようやく悲劇不幸のてんこ盛り状態から脱し、救いに向けて歩み始めたようだ。
このあと、栞がドナーとなって小春を救う、というのはあまりに安直に過ぎるので、最終話では、栞がドナーなのかどうなのか、見るものをやきもきさせながら、結果が出るまでの一週間の日々を丁寧に描いてもらうことにしよう。
栞は実家に戻り小春に謝罪。小春は許すとも許さないとも言わず、ただ、自分は死ぬつもりはないが、もし、万一、そういうことになれば、子供たちをよろしく頼むと伝える。栞は、許せぬ罪を不問にしても子供を守ろうとする小春に強い母親、聖母のごとき姿を見る。そして、いつかは自分があなたの父親、信を殺したのだと望海と陸に真実を伝えなければならないことを覚悟するが、彼女たちが十分な大人になるまでは、ただひたすら、母親の代わりを務めようと決意する。
二人の娘を結果的に不幸にしてしまったのは自分であると自責の念に駆られる紗千ではあるが、犯した罪は何物をもってしても贖えないことを知り、ただ、この先、何があっても小春と栞のふたりを、本来の意味で見守ろうと決意する。同時に、望海にだけは、ふたりの娘に接した時の過ちを繰り返すまいとの覚悟を持つにいたる。
望海は、いつもと変わらぬ小春の後ろ姿を見ながらも、いずれ小春が灰になることを受け入れるようになる。8歳で母親を失うのは自分と同じだが、母親を恨むことがない分、自分より幸せなのだと小春に諭され、栞も、紗千も、なまけものさんもいることの幸福を知る。幸福とは何かを知る。
小春は淡々と生きている。紗千の娘として生まれ、信の妻になり、望海と陸の母親になったことが、どれも偶然から始まったことながら、どれも必然であったことのように思える不思議を感じている。この先、いずれは命の果てる日が来るが、それまでは前だけを見て生きようと決めている。望海と陸のただの母親であろうと決めている。
検査結果の出る前日、紗千と小春と栞は同じ台所に立っている。まめごはんとあさりの味噌汁、カレイの煮つけにハスと茄子の煮物、ささみとキューリの酢あえが食卓に並ぶ。そして家族6人は初めてわだかまりのない夕餉を囲む。窓の外ではあの曲が流れ、望海が、円居せんだね、と語り、なまけものさんが、そう、家族団らんだ、と言ってにこやかに笑う。西陽がそれぞれの横顔を明るく照らすと同時に、長い陰も落とす・・・
そして、検査結果の出る日・・・
・・・
場面は数年後の望海と陸の日常を映し出す。部屋には信と小春の写真が飾られ、いつものように新しい水を捧げる望海。5人家族で、いつもと変わらぬ朝食を囲んでいる。そして、最後に遠くから小春の声が聞こえる。
おかあさんとおとうさんはね、死んで星になったりはしていないよ。今でも生きているの。望海と陸と一緒に、生きているの。ずっとね。
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つづく