設定に上手く入り込めなかったのが残念。映像は非常に綺麗

 

「屋根裏のラジャー」は「メアリと魔女の花」のスタジオポノックが、イギリスの作家A・F・ハロルドが書いた小説「ぼくが消えないうちに(The Imaginary)」を映画化した長編アニメーション。「二ノ国」などの百瀬義行監督がメガホンを取り、寺田心さん、鈴木梨央さん、安藤サクラさん、仲里依紗さん、山田孝之さん、イッセー尾形さんらが声の出演をしている。

ストーリー:少女アマンダの想像が生み出した少年ラジャーは、彼女以外の人間には見えない「想像の友だち(イマジナリ)」だ。ラジャーは屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びにあふれた毎日を送っていた。しかし、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという、避けられない運命があった。そしてイマジナリを狙う怪しげな男がやってくる。

 

いい映画だと思ったんですが、妙に入り込めなかったというのが正直なところです。

 

うーん、なんだろう。設定がよくわかんなかったんですよね。いや、よくわかんなかったというより、納得できなかったのかな。これってっもう映画の問題じゃなくて僕の問題だと思うんですけど、イマジナリが何なのかよくわからなかったんです。

 

いや、空想の友達ってのはわかるんですよ。だから、本人にしか見えない、みたいな。

 

でもそもそもそんな本人が会話をするくらいイマジナリを強く想像できるのかな?みたいなことが気になってしまったんですよね。しかも、それ自体が人格を持つくらい細部まで想像できるのかな?って。

 

これはもう設定の根幹を揺るがす話だし、じゃあ何でその設定が受け入れられないのに観に行ったんだよ、って指摘されても仕方ないとは思うんですよね。はい。

 

なので、これはもう受け入れるべき設定だというのもわかるし、そこに文句言っているのがもう野暮ってなもんだとは思うんですが……。最初のころのイマジナリであるラジャーとアマンダの会話とかすごく腑に落ちなくて。

 

一方でラジャーがアマンダから離れてからはなんかキャラクターとしてイマジナリを認識できるようになったので物語に入っていけるようになったんですよね。

 

何だろう、イマジナリって、それを生み出した人の支配下にあるような感覚になってしまったんですよ。いや、今作はそもそもイマジナリは人格を持つんだよってことを言いたかったのかもしれないけど、おもちゃが夜な夜な遊んでいるみたいな設定とは違って、イマジナリって創造者(かつ想像者でもある)のさじ加減でなんにでもなっちゃうじゃないですか。しかも子どもの想像って基本的にはそんなに一貫してないと思いますし、一貫してないから楽しい想像になるみたいな面もあるじゃないですか。だから、なんか本当によくわからなくなってしまったんですよ。

 

で、序盤から中盤にかけて全然話に入り込めなくて、何が起きてるんだろう、みたいな気持ちになっていました。

 

中盤以降、イマジナリが狙われるみたいな話は面白く観られたのですが、最後のクライマックスのあたりの展開も「え、何でもありじゃん」みたいな気持ちになってしまって、よくわかりませんでした。想像力があるのはいいことだけど、それが現実でそうなるためにはもう少し説得力を持たせてほしかったな、と思っちゃったんですよね。

 

と、めちゃくちゃ批判的な書き方をしていますが、これだけ話に入れなかったのに、映像のきれいさとかは印象に残っていますし、泣けるシーンとか、結構ぐっときたから、映画としてはすごく丁寧に、上手く作られているんじゃないかなと思います。

 

もう話の設定が合わなかったので僕はあんまりでしたが、観る人によってはすごく刺さるだろうし、普通にあんまり設定とか考えずに観れば面白いと思うので、気になるなら観に行ってみるといいと思います。

 

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